客を太らせよう

居酒屋ランチは楽しい

居酒屋のランチ営業は、楽しい。お洒落さやおしゃべりが出来る場所を求める女性からすると選択肢には上がらないかも知れないが、おっさんたちにとっては素敵な空間だ。

本来、夜しか営業しない居酒屋において、昼間はお店を遊ばせてしまうもったいない時間となる。なのでランチを提供し、少しでも収益を上げようとするのだが、「メインはあくまでも夜」という意識があってか、ランチタイムはとてもお得な料理と値段の設定にすることが多い。

このお店も、そうだ。

メニューそのものは、海鮮中心の居酒屋ランチだ。お値段はまあまあ安い。しかし、このお店のすごいところは、ご飯お味噌汁サラダその他をセルフサービスで盛ってきてくれ、というスタイルをとっていることだ。もちろんおかわりだって自由だ。そのため、このお店は肉体労働者をはじめ、様々な腹ぺこな人たちを虜にしてやまない。

僕はこのお店に行く際はとても警戒する。なぜなら、ついつい盛りすぎてしまうからだ。よせばいいのに、ご飯をよそう茶碗が、丼。最初っから、ガテン仕様だ。この丼でご飯の盛りを見誤ってしまい、大抵毎回「しまった、盛りすぎた」と後で後悔することになる。

そんなわけで、誰かのお誘いを受けない限りは、このお店には行かないことにしている。食べ過ぎてしまうからだ。己の自制心のきかなさっぷりに絶望するからだ。しかしこの日、職場の部課長が行く、というので久しぶりにここでランチを食べることになった。

ついつい・・・。

注文したのはアジフライ定食(650円)だった。揚げたてのアジフライが食べられるので、僕が愛しているメニューだ。

このお店の場合、店員さんに注文を済ませたら、さっさとご飯などをセルフで盛りに行く事になる。料理が出てくるのを待つ、ということはしない。トレイを手にし、ビュッフェ形式で料理を好きに盛っていく。

このお店、無駄にサービス精神が旺盛だ。丼茶碗を用意するところからしてもそうなのだが、最近になってカレーを提供するようになったり、ふりかけの種類を増やしたり。客足が衰えているわけでもないのに、勝手にお店がサービスを増やしている。しかもご飯が進む系のサービス向上ばかりで、このお店は本気で客を太らせにかかっている、と戦慄せざるをえない。

セルフになっているのは、ご飯、味噌汁、サラダ、漬け物、ふりかけだ。

味噌汁はねぎ、わかめ、お揚げを自分でトッピングし、味噌汁をお椀に注ぐ。ついつい、具だくさん・・・というか具だらけのお味噌汁を作ってしまう。器は遠慮して普通のものにしているが、海鮮丼を盛るための大きなお椀もあるので、汗を大量にかいたような人はそちらをどうぞ。

サラダは、サラダ用の小さな取り皿は用意されているのだが、ついつい毎回ご飯用の丼を使ってしまう。がっつり盛りつけてやるぜ。「サラダを食べればヘルシー」とか、我ながら嘘がバレバレな事を言って言い逃れをする。キャベツの千切り、玉ねぎ、水菜、ツナなど。トウモロコシもあったような気がするけど、ボロボロこぼれて食べにくいから選んでいない。

その後、漬け物が柴漬けや梅干しなど数種類、ふりかけがかなりの数並んでいたと思う。戦利品を手に座席に戻るときは、トレイがずっしりと重たくなっているのが常だ。

「今回はこれでも自制心を働かせたんですよ?」

と言い訳をする。ご飯の盛りに、その片鱗が垣間見えるが、それでも通常のご飯茶碗の2杯分くらいはかるく入っている筈だ。丼はつくづく、いかん。

これだけで十分「サラダ定食」として成立する。アジフライ本体が届くまでの間、このトレイの上のものを食べて待つ。通常なら、ご飯などをよそって座席に戻った時には料理が出ているのだが、この日は厨房が立て込んでいたようだ。なかなか料理は出てこなかった。しばらく「サラダ定食」を食べていたのだが、それでもまだやってこなかった。

「ああ、これはダメだ、アジフライが来る前に食べ終わってしまう」

やばい、という気持ち半分と、「しょうがないな、アジフライが来ちゃったらおかわりせざるをえないなあ」というニヤニヤ感半分。

アジフライ到着

で、アジフライが到着した時にはこんな有様。漬け物まで全部食べ終わっていた。あー。

香ばしいアジフライよ

アジフライをじっと眺める。

香ばしい色に揚がっており、これはご飯なしで食べるのはつらい。是非、白米をほおばりながら食べ尽くしたい。いや、でもこれまでも相当ご飯は食べてしまったわけで。

結局、おかわり

結局、何事もなかったかのように、おかわりをしてしまった。

この写真だけ見ると、こういう定食なんだと思ってしまうが、実際はご飯やサラダといったトレイ上のものは全ておかわりされた後のもの。食べ過ぎだ、おい。

「お店に殺される!飼育されてる!」

と嬉しい悲鳴を上げなら、僕以外の部課長もおかわりをしていた。本当に恐るべきお店だ。ひょっとしたら、料理が提供されるのが遅いというのも、「しこたま食べさせるためのお店の作戦」なのかもしれない。

やばすぎて、しばらくこのお店からは足を遠のかせようと思う。




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