東京食肉市場まつり2016

東京食肉市場

東京は品川駅の東側、港南口には巨大な食肉市場がある。東海道山陽新幹線が全列車停車し、将来的にはリニアの始発駅ともなる品川駅だが、実はそんな側面を併せ持っている。

東京唯一の食肉加工市場であり、競りだけでなくと畜もここで行われている。だから、港南口あたりを歩いていると、頻繁に牛さんがたくさん乗せられたトラックに遭遇する。東京の胃袋を支えるためには、ここでは感傷的に「ドナドナ」を歌ってなんていられない。

昔はのどかなもので、品川駅のあたりまで「脱走した牛」が逃げてきたそうだ。品川で働いていた人から何度もそういう話を聞いたことがある。今じゃさすがに、牛が脱走なんてことはないようだけど。

巨大な施設ではあるけれど、その中はよくわからない。お隣の品川インターシティから市場は見下ろせるのだけど、外からは何も見えないようになっている。さすがに、牛や豚が追い立てられたり、枝肉が吊るされて運ばれたり、というのが外から見えるようじゃまずかろう。別に秘密にするつもりはないのだろうけど、秘密のベールに包まれている。

そんな施設が年に一度、開放される。「東京食肉市場まつり」がそれで、例年10月に開催されているらしい。そこでは肉が安く売られていたり、豪快に肉料理の「試食」が振舞われているという噂を聞き、いつか行ってみたいと思っていた。胃袋をお得に満たしたい、というよりも何よりも、市場の中に入るということがスペシャル感があったからだ。

2016年10月16日。東京食肉市場遠景。品川駅方面から眺めたところ。

窓ガラスがない巨大なビルが目に付く。これが市場。

例年ものすごい人手らしく、無料の試食や目玉となるお買い得商品を手に入れるためには開場1時間前くらいには並ばないといけないらしい。わざわざ「攻略ガイド」をブログに作成して公開している方がいるくらいだ。

目玉となるのは、「国産牛が1kg1,000円で売られている」お店らしい。マジですか。グラム100円の国産牛って一体どういうことだ。さすが食肉市場まつりだけある。ワッショイ!ワッショイ!

チバザビーフのポスt-亜

毎年、テーマを決めて肉を紹介しているらしい。今年は千葉産の牛肉で、その名も「チバ ザ ビーフ」という名前。インパクト大だ。「コナン ザ グレート」という映画があったし、「ルパン ザ サード」といえばルパン三世のことだ。

会場内部

年によっては入場待ちの行列まであるようだが、今年はすんなり入れた。

さて、これまで20年近く「いつか入ってみたいものだ」と思っていた東京食肉市場に入場・・・

なのだが、ここから先は撮影自粛。

イベントなので撮影可だとは思うのだけど、あちこちに「構内写真撮影禁止」という札があった。これがイベント以外の日常業務の日における注意喚起なのか、それともイベント日である今日も撮影禁止なのか、よくわからない。しかし撮影しないに越したことはあるまい。来場していたチーバくんの写真は撮りたかったけど。

市場倉庫の、トラックがドッキングする部分を臨時屋台の出入り口にして、肉屋がずらっと並ぶ。営業しているのが仲卸なのか小売なのかよくわからない。

「1kg1,000円の国産牛」を出すお店は、長蛇の列ができていた。蛇行して延々と伸びていた。しかも、整理券を受け取った人だけが並ぶことができ、僕らが訪れた時点では既に整理券の配布は終了していた。さすが。

牛肉を扱うお店だらけだ。豚肉やホルモン類を売るお店はあまり印象にない。少なかったと思う。すじ肉をキロ1,000円で売るようなお店はちらほらあったけど、レバーを売ってるお店ってあったっけ?という状態。

そんなわけで、どのお店もスーパーで売られているよりもはるかに安く上質な肉を競って売っている。しかし、そのために「気楽に手を出してみよう」とするにはちと荷が重いお値段ではある。うわっ、霜降り!みたいな肉はゴロゴロ売っているのだけど。

あと、ワイルド心をくすぐる巨大肉、みたいなものも記憶にない。もっとお召し上がりやすいサイズのものが中心で売られていたと思う。

場内では、すき焼きの無料試食があったけど既に12時前に終了。そのかわり、ギリギリもつ煮の無料試食に間に合い、牛豚両方の煮込みを食べることができた。「牛か豚、どっちかの煮込みを選んでください」というものかと思ったけど、両方とも持っていってくださいといわれてびっくりした。えっ、片方だけでも結構なボリュームありますよ?いいんですか?と。それくらい太っ腹。

すぐ隣の建物から「モー」という鳴き声がする。生きた牛がいるのがちらっと見えた。そういう場所で食べるもつ煮。食べ物を頂くということは命をいただくことなのです、と気持ちを新たにする。おいしいよ、牛さんおいしいよ。

肉以外にも、ここでは野菜や果物が売られている。高級なお店として知られる明治屋も出店していて、品のよろしい果物が格安。あと、太田市場もお店を出していて、ここでも野菜や果物が安い。柿なんぞを買ってみた。

ゲットした肉

そうこうしているうちに、タイムセールということで「国産牛1.4キロで1,000円」を始める店が現れた。えっ、まさかご冗談を。

そんなうまい話なんてあるものか。スーパーで「玉子1パック99円。ただし500円以上他の商品をお買い上げの方」みたいなセールがあるけど、それと同じなんだろう。

でもとりあえず確認してみなくちゃ、ということでお店に入ってみたら、本当に1.4キロ1,000円で腰が抜けた。条件なしで買える。

マジで?マジで?と焦りつつ、1.4キロを購入しちゃった。税込み1,000円。

写真は700グラムの国産牛切り落とし(冷凍)。これが2パックで1,000円だったということになる。ラベルを見ると、もともとこの700グラムを1,000円で売っていたらしい。それでも十分安いのだけど、お店の人のテンションが上がっちゃったらしく、もう1パックつけてお値段据え置きにしちゃったらしい。豪快すぎるだろいくらなんでも。

製造元は長野県。この品川で加工されたわけではないそうだ。でもちゃんと国産牛でびっくりさせられる。ほくほくしながら家に持ち帰った。保冷材は会場内で無料配布があるので、助かる。

大量購入している人は、会場内にあるクロネコヤマトの出張所でクール宅急便にしていた。他にも、カートをゴロゴロ引きずりながらフウフウいいつつ退却する人も多数。かなりガッツリ買い込んでいるらしい。

肉アップ

家に帰って、あらためて肉を確認してみる。

薄切りで、しゃぶしゃぶ・すき焼き用だろうか。サシは入っていないけど、赤身がうまそうだ。

ざっと見た限り、3種類の部位が混じっているようだった。どれがどれだかわからない。味の違いもよくわからなかった。

さあ、いずれにせよ1.4キロもあるのだから食べ応えあるぞ。ミルフィーユカツにしたら一体どれだけの量になるのだろう?

肉、焼いた

その日の夜は、焼肉にしてみた。肉のうまみがぎっしりしている感じで、とてもおいしゅうございました。

すき焼き

翌週はすき焼きにしてみた。

これでようやく700グラム消費。あとまだ半分残っている。さすが1.4キロだ、びくともしねぇぜ、とあらためて驚かされる。

「焼肉とすき焼きをやって、肉のお値段はたったの500円だ!」

その事実を知ると、驚きがさらに増す。すごいイベントに行ったものだな。普段牛肉は値段の点から敬遠していたので、久々に心行くまで食べた気がする。肉っていいですねぇ。うまいですねぇ。

まだ残り700グラムあるので、しばらくは肉肉した生活を送りたいと思う。来年も行かなくちゃ。

なお、敷地内には「お肉の情報館」という部屋があり、そこでと畜解体作業の流れなどをVTRや展示物で学ぶことができる。これもまた大変に勉強になる内容で、訪れてよかったと思った。

(2016.10.16)

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