わたしの鏡餅

【注意】
この記事には、人によっては不快に感じる写真が含まれています。TPOをわきまえて、大きく深呼吸してからお読みください。

鏡餅

2016年年末、クリスマスが終わると一気に世の中は年末へとモードが切り替わっていった。

・・・のはずなんだけど、バタバタしていて全くそんな気がしない。とりあえず100円ショップで、玄関に飾る正月飾りを買って来て扉にぶら下げてみたが、まだしっくりこない。一日に朝晩しか見ない玄関を飾り立てても実感は乏しい。やはり室内を飾らないと。頭が正月モードに切り替わらないなら、視界に入るもので頭を強引に切り替えさせないと。

そうなると、やはり一番サマになるのは鏡餅だ。スーパーやホームセンターでは、紙製の組み立て式三方がついた鏡餅が大小さまざま、山積みになっている。今年もこの鏡餅を買うことにしよう。

そんな折、いまさらながら我が家のホームベーカリーは餅がつけることがわかった。もち米さえ買ってくれば、簡単にできるのだという。かれこれ3年近く所有していたのに、全く気づかなかった。

とはいえ、どうせ「事前にもち米を蒸してください。蒸したもち米をホームベーカリーに入れてくれたら餅にしますよ」といった面倒な手続きが必要なんだろう、と思っていた。しかし取り扱い説明書を読めば、もち米と水を入れてボタンを押すだけでできるのだという。えええ、そうだったのか。隠し子を発見した気分。

というわけで今年のおかでん家年末は、初の自家製鏡餅を作ることに決定。

旅先でもち米を購入したのだが、2kgの袋しか売っていなかったので「こんなにはいらないんだけどなあ」と思いつつ購入。こうなったら「デカいことはよいことだ」の精神で、めいっぱいデカい鏡餅を作ってみよう。

結局、3合の餅を2回ついて、上段と下段の餅とした。満足いくデカさになり、ご満悦。

しかし、予想外のことがあった。餅が自重に耐えかね、でろーんと横に広がっていったことだ。特に、上に餅をのっけられた下段のヤツは、「もうだめ。ワシ知らん」とばかりに重力に身を任せていた。作ったときのイメージとしては、もっとぷっくりと、豊満な女性の胸のごとく張りよく盛り上がった形だったのに。なんだこれは。冷え固まった溶岩みたいだ。

それもこれも、餅を固める時間がなかったからだ。

我々が餅をついたのは仕事収めが終わり、冬休みに入った12月29日。翌日には帰省のため家を空けることになっており、この日のうちに鏡餅を仕上げる必要があった。そのため、冷え固め、餅の水分を飛ばすだけの時間がとれなかった。これは大いにうかつだった。

とはいえ、合計6合からなる大きな鏡餅に深く満足し、てっぺんにみかんを1個ちょこんと乗せ、これにておかでん家は一気に正月らしくなった。

あけましておめでとう。

1月11日の鏡餅

鏡開きは1月11日を予定していたのだが、その数日前くらいから異変が指摘されるようになった。僕は全く気づかなかったのだけど、僕より座高が低いカツがコタツにもぐりこんでいると、「目の前の鏡餅の隙間から黒いものが見える」のだという。どうやらカビが生えてしまったらしい。

まあ、そりゃそうか。水分が抜けきらないまま鏡餅を完成させたし、ここ数日は風邪を引いた僕のために部屋は加湿器で湿度を60%近くまで上げている。カビにとってはこれ以上ない増殖タイムだった。

鏡開き後、餅の表面を削って食べることになるのだろう。ええと、ピーラーを使って餅の表面って削れたっけ?・・・そんなのんきな会話を二人でしていた。

そして迎えた鏡開き当日。

「わたし、カビアレルギーなので」

といって退散するカツ。エアコンが動いているとカビの胞子が撒き散らされるから、ということでエアコンは停止、そしてすぐ近くに空気清浄機をスタンバイし、強力モードで運転開始。バイオテロにでも遭ったかのようだ。

ダイニングテーブル上に持ってきた鏡餅は、確かに一箇所ぽつんと黒い斑点がある。でも、これくらいならぜんぜん大丈夫だ。包丁で削ろう。

みかんの下にかび

これまで2週間近く、我が家の守り神として君臨していたミカン様にご退席いただく。

あ、カビがここにも。まあ、これはいい。

カツが遠巻きに

「問題はお餅とお餅の間ですよ。横からみても、黒いのがはっきりと見えましたから」

と怖いことを言う。さて、上の餅を取り外してみよう。

うわあー、かびだらけ

あー。

なんだこれは。

青かびチーズ・・・じゃないよな。これは悪夢だ。びっしりカビが生えているじゃないか。

最近、冷蔵庫やら食品の防腐剤の発展で、「カビが生えまくった食べもの」ってめったに見ることがなくなってしまった。それが今回久しぶりのご対面。しかもよりによって縁起物の鏡餅で、だもんなぁ。年明けからおめでたい。ちくしょう。

結局手でちぎる

これはかなり削らないといけないっぽい。へたくその大根桂むき以上に、ごっそり表面を削らないと。

「わたし、これは食べられないと思います」

早くもカツがギブアップ宣言する。まあ待て、削ればどうとでもなる。

包丁を使って割る

とりあえず削るために、鏡餅をザクザクと細かくする。

本当は縁起物の餅なので、包丁を使って切るというのはよくないのかもしれないけど・・・既にそのあたりはすっ飛んでしまっている。扱いが雑だ。

ひどい有様

もうね、一体何を切り刻んでいるのかと。

青かびチーズみたいだし、青かびチーズがトッピングされたピザのようでもあるし、変な焼き色がついたおやきのようでもある。いずれにせよ、これは餅には見えない。

中までかびが入り込んでる

細かく切ってみたが、断面を見る限りもうダメっぽい。表面だけでなく、内側にまでカビが侵食している。これがチーズだったら良い熟成なのかもしれないけど、餅だとダメだ。これでワインを飲めといわれても無理だ。食べるなんてもってのほかだ。

結局、少しだけ削ってみたけど断念。あきらめて餅をつきなおすことにした。なにせ、今晩はお汁粉にする、ということが既に決定されていたからだ。餅がないと食べるものに困る。

夜、急きょ餅をつき直し

そんなわけでつきなおした餅2合。なんで「鏡開き」の日にあらためてお餅をついているんだろう?とカツがつぶやくが、こればっかりはしかたがない。それ、つきたての餅を食べるぞ。

お汁粉を作る

お汁粉にして食べた「つきたての餅」はとてもおいしかった。うまけりゃいいんだ、それが食べ物ってもんだ。胸を張って開き直る。

さて、2017年の年末に向けて課題ができたな。失敗こそ、次へのネタ振り。来年こそはちゃんとした鏡餅を作りたい。今から楽しみだ。

(2017.01.11)

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