
「オードブル」としかメニューに書いていなかったので、夫婦揃って
「なんだろうね、これ」「なんだろう」
とひそひそ話。
蝶ネクタイの給仕さんがいるような洋食店なので、もちろん聞いたら丁寧に教えてくれるだろう。でも、それは無粋というものだ。
オードブルの値段を見る。
そして、オードブルと同じページに書かれている「前菜」エリアの料理をざっと眺める。料理名だけでなく、値段も大事だ。
「ふむ」
なんとなくの雰囲気を掴んで、それでこの謎の「オードブル」を頼むかどうかを夫婦で目配せしあって決める。答え合わせなんてどうでもいい。メニューに載っていない料理が盛られていることだってざらにあるし、「どっちがお得か」なんてけちくさいことを考えているわけじゃない。
「オードブル」を頼むことでエキサイティングかどうか、だ。ワクワクするかどうか、だ。値段がそれなりに高いので、心拍数が上がる。
(2022.02.05)
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