那珂湊で仕入れたメヒカリを唐揚げにした。
大きな目をした深海魚で、茨城沖で穫れることで知られている。なので、瀬戸内海沿岸で育った僕にとっては大人になるまで縁遠かった魚だ。
東京でもそこまで出回っている魚ではない。鮮魚に力を入れているスーパーなら取り扱いがあるかもしれないけど、ごくありふれたスーパーなら「メヒカリがパックに入って売られている」なんてことはない。鮮度が落ちやすい魚だからだ。
深海魚!というとごっつい体格の魚をイメージするけれど、これは小ぶりだ。ハタハタよりも小さい。
レシピを見てみると、頭を落とし、内蔵も取り除いた状態で塩コショウで味つけして片栗粉をまぶして油で揚げるのが一般的なようだ。でも、中には頭そのまままるごと一匹のレシピもある。せっかく「目光り」という名前がついている魚なんだし、頭をそのままにしようか・・・?としばらく逡巡した。
結局、頭も内蔵もカットした。というのも、「鮮度が大事」とか言っておきながら、ビンチョウマグロの刺し身に気を取られて食べるのが遅くなってしまったからだ。鮮度が落ちた頭や内蔵が美味しいかどうか、自信がなかった。
「ドンマイ、今回は残念だったけどまた次回があるから」と言えないのがこの魚だ。アジやサバのようにどこでも買える魚じゃないので。
白身の魚で、味は淡白だ。しかし、シシャモのようなボソボソした身の感じではなく、ホロッと口の中で崩れる柔らかい食感は独特で楽しい。そして深海魚ならではなのか、淡白なのに脂が乗っているのがおいしい。
今の家ではぜんぜん躊躇することなく揚げ物をやっているので、こういう料理を作るのに抵抗がない。揚げ物は食卓を豊かにする。マジでそう思う。チープな業務スーパーの冷凍揚げ物でも、家で揚げたのをすぐに食べれば立派な贅沢品だ。ましてや、1日経ったとはいえメヒカリともなれば、雲上人の食べ物のようだ。
(2022.03.21)
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