人任せの料理は「おっ」と感心することがある

最近の僕は、食に対する興味がずいぶんと失われてきた。テレワーク中心の生活になって自宅滞在時間が増えたこと、結婚して子どもができたことと複合的な要素がある。

特に、高齢にして子どもを授かると今後の家計が心配だ。どこまで外食にお金を使って良いのか、さじ加減が難しい。なので段々「あれも食べたい、これも食べたい」という意欲がなくなってしまった。とても残念なことだけど、バーター取引として家族という幸せを得たのだから不満はない。

家族が出来たことによる影響、という点ではショッピングモールに行く機会が増えた。ショッピングモールってすげぇな。「画一的な光景」だとか「地元商店街を潰す害悪」みたいな言われ方をされた時代があったけど、小さい子連れにとって最強の空間だわ。

雨が降ることはないし、トイレや授乳室、おむつ交換台は完備、道幅が広く、どのお店も子どもに対して寛容。この便利さは子どもが出来てからこそ、実感した。

そもそも僕もパートナーのいしも、大して買い物欲はない。ショッピングモールにはほとんど用事がないのだけれど、「子どもと散歩&探検する」という目的においてとても素敵なダンジョンだ。

疲れたらお茶でも食事でも摂れる。しかもフードコートならベビーカーのままでもOK、バリアフリーだし。

ある日、ショッピングモールのフードコートでごはんを食べよう、ということになった際、僕は息子と一緒にいるのでいしが買い出しを担当することになった。何の料理を買ってくるかはお任せにした。

タコベルがあったりするフードコートなので、せっかくの外食だからちょっと珍しい料理を買ってくるかな?と思っていたが、いしがトレイに乗せてきたのはこの写真の料理だった。

天津飯と、ラーメン。

おう、そう来たか。

僕だったら絶対に頼まないメニューだ。「せっかくなんだから」の呪縛にとらわれて、完全に見落としてしまうからだ。でもだからこそ、いしがこれを買ってきたときに「ほほう、これはこれで良い」と思った。

よく考えてみると、僕は人生で天津飯をお店で頼んだことがないと思う。珍しいものを、とか定食を、と選んでいるうちに、天津飯なんて珍しくもないと思いつつほとんど食べたことがないレアアイテムになっていた。

ありがたい。いしにセレクトをお願いしたからこそ、「平凡かもしれないけれど、だからこそ僕個人にとっては非凡」な料理に出会えた。

テレワーク以降、僕における「せっかくの外食なんだから」ハードルは上がっている。わざわざ自宅から食事のために出かける以上、日高屋や松屋吉野家なんかでごはんを食べるという気持ちがすっかりなくなってしまった。食べたら美味しいのに。

テレワークのお陰で仕事と家事育児の両立が出来ている。気分的にも楽だし、ありがたい環境だと思っている。でも、どんどん自分が狭い範囲に煮詰まっていくのがよくわかる。せめてご飯くらいは、たまには人任せにして新しい出会いをしてみたい。

(2022.05.15)

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