「味坊集団」と呼ばれる中国料理の勢力が、東京の東側に存在する。
主に神田~上野のあたりに何店舗もある中国料理のお店で、一店舗ごとに店名もコンセプトも違い、個性的だ。
チェーン展開をしているわけではなく、お店ごとに個性が立っていて、面白い。「いずれ、味坊の系列店舗は全部巡ってみたい。」なんて考えているくらいだ。
一番有名なのは、御徒町駅近くにある「羊香味坊(やんしゃんあじぼう)」だ。このお店は、グルメ雑誌で名高い「dancyu」で特集記事が組まれるほどの存在感を放つ。
そんな味坊が、このたび秋葉原に「香福味坊」というお店をオープンしたという。特徴的なのは、朝から営業をしていて、朝食バイキングがあるということだ。お粥をはじめとする中華ならではの朝ごはんが廉価で食べられる、という。
これは面白い。朝食の外食といえば、カフェのモーニングサービスやホテルのビュッフェがあるけれど、どれも一長一短だ。せっかくの外食なのにトーストとゆで卵、というのはワンパターンだし面白くない。安いのはありがたいけれど。一方ホテルビュッフェは、種類が豊富だけれど値段が高いし、朝からそんなにたくさん食べたい気分でもない。
そんな中、中華朝食ビュッフェ、品数が絞られているので値段は安い、しかも秋葉原駅前と聞くと俄然興味が湧いた。週末に行ってみよう。

秋葉原駅昭和通り口を出てすぐのところに、いつの間にか新しいビルが建っていた。知らなかった。
ガラス張りのビルの地下一階に目指す「香福味坊」がある。

朝食バイキングは朝7時から10時の3時間限定。
このお店は面白い営業時間になっている。朝食、ランチ、ディナー、深夜でメニュー構成を変えている。そして、深夜営業から朝食営業に切り替わる05:00~07:00、朝食からランチに切り替わる10:00~11:00はお店がおやすみだ。つまり、1日あたり変則21時間の営業。
肝心の朝食バイキングは600円。激安だ。

中に入ると、「えっ、まじで?」というレベルで店内が混んでいた。客席が混んでいるだけでなく、順番待ちの人が店の隅っこにぎゅうぎゅう詰めになって並んでいる。後からやってきた人がその様子を見て、諦めて引き上げるレベルだ。
影響力の強いwebサイトがこのお店のことを紹介して間もないこともあって、それを見た人が大挙押し寄せたのだろう。僕らもその一人だけれど。
ただでさえ地下の店舗はあまり広くはない。そんな中、店内真ん中の大テーブルがバイキング用に料理を並べるスペースとなっており、どうしても食事ができる客席が少なくなってしまう。そのために入店待ち行列が朝からすごいことになっているのだった。
幸い、朝ごはんを1時間も2時間もかけて食べる人はいない。お客さんの回転は比較的早いのだけれど、とはいえ「600円のバイキングをさくっと食べて次の目的地へ行こう」と思っている人が行列に並ぶ気になるかどうか、微妙なところだ。
それだけ「気軽な朝食バイキング需要」はあるんだと思う。今や、朝ごはんを食べようと思ったら牛めし松屋とかマクドナルドとかカフェといろいろ選択肢がある(都市部在住の場合)。しかし、「朝定食」とか「モーニングセット」といったお仕着せのご飯ではなく、もう少し自分のお腹具合や気分で種類や量のチョイスができるお店があると嬉しい。
味坊集団はこのお店の混雑に味を占め、ぜひあちこちに朝食バイキングのお店を作ってほしいものだ。
とはいえ、僕ら、そしてこの店内にいるお客のほとんどのようにわざわざ電車に乗って食べに来る客なんてのはリピーターになりにくい。やっぱり、住んでいる家の近くにあってこその朝食レストランだ。自分の地元にもこういうお店があると嬉しいのだが。

この時点で並んでいた料理をざっと一通り選んだところ。
白い飲み物は、温かい豆乳。
なるほど、600円バイキングだとこうなるのか、と納得する。納得だけど、「こういうのでいいんだよ。」感もある。
600円は安い。ただ、冷静になって考えると、朝ごはんから外食して一人600円払うような生活を送るとなると、財力が必要だ。このお店は気に入ったので、また機会を見て、要所要所で使っていきたい。秋葉原ということもあって、日常使いというわけにはいかないけれど。
(2022.07.31)
コメント