南印度のカレーを食べる

我々が一般的によく食べているインド料理店のカレーは、インド北部方面のカレーだと聞いている。南インドのカレーは似て非なる料理だとも、聞いている。

なるほど、確かにそうだと思う。でも、ずいぶん雑な分類の仕方だ。なにしろ、インドって「亜大陸」と言われるくらい、デカい土地だ。ユーラシア大陸のうちの一つの半島、と呼ぶにはデカすぎる。そしてそこに約13億人もの人が住んでいる。どうやって南北で分けるんだ?

日本なんて、TV番組「秘密のケンミンSHOW」を見てもわかるとおり、隣の県では当たり前の食文化でさえ、こっちは全然知らないということもザラだ。これは世界どこでも同じことだと思う。インドみたいな巨大で人口が多い国だと、一体どれだけの食文化が存在するのだろう。想像すらできない。

そんな国の料理だというのに、「インド・ネパール料理」を標榜してネパールと融合した店が結構ある。さらには、乱暴にも「インド・タイ料理店」もあったりする。おい、インドとタイは国境を接していないぞ。

2022年現在、東京でもだんだん南インド料理を出すお店は現れている。しかし、まだまだ数が少ない。

たまにその手のお店に食べに行くと、なかなかに困惑する。

味はおいしい。サラサラしたスープカレー風のものが多いので、ねっとり系カレーに慣れていると若干物足りなさをも感じるが、こういう料理なんだと思えばとても満足できる。

じゃあ何に困惑するのか、というと、料理名が頭に入ってこないことだ。

この日食べたのは「ランチミールス」。

本日のカレー3種とサンバルカレー、ラッサムスープ、ライス、バトゥーラ、パパド付き

とのことだった。料理が運ばれてきたときに店員さんから説明を受けたのだけど、その数秒後には忘れてしまい、何がなんだかわからなくなってしまった。ええと、5種類カレーが並んでいるように見える。

「パパド」がえびせんみたいなパリパリのパンなのはかろうじて過去の経験で覚えている。ええと、じゃあこのご飯の上に乗っかっているのがバトゥーラか。すげえな、南インドの人はカレーを食べるのにご飯、バトゥーラ、パパドの3種類の炭水化物を使い分けるのか。

いや、これは日本人向けにカスタマイズされたものであって、こんな食べ方はインド人でもしないかもしれない。ほら、広島人はお好み焼きを食べるときに「スペシャル」なんて頼まないのと一緒。お好み焼き屋で牡蠣とかの具が全部入りの「スペシャル!」なんて注文するのは、100%観光客って一発でわかる。

そうやって疑いはじめると、ますます料理名と眼の前の実物が覚えられなくなる。加齢のせいもあるんだろう。

つくづく思うんだが、エスニック料理って若いうちにあれこれ食べておくといいな。歳を取ると、なにせ名前が覚えられない。「これは以前食べた」ということさえも、記憶が怪しくなる。食の体験というのは、過去の記憶や知識が豊富であったほうが深みが出てくる。僕はそろそろ、「記憶」が怪しくなってきた。

結局、「ラッサムスープ」というのは豆を使ったスープだというのはわかった。今この記事を書くのにあたって、ぐぐったからだ。でも、たぶん明日には忘れる。というか、そもそもこの写真の中で、どれがラッサムスープなんだか、未だにわからん。

だいたい、白いカレーはなんだよ?僕、もう何もおぼえてないぞ?

ほら、こういうときに料理名だけでも覚えていると、味や食体験を思い出すきっかけになるんだけどなぁ。覚えられないなぁ。

(2022.08.05)

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