身内の不幸のため、家を一週間近く留守にしていた。
危篤を知らされ、急遽帰省となったのは夕方だった。その日僕は料理をあれこれ仕込んでいて、これだけ作れば当分の間料理には困らない、というだけの作り置きを仕上げていた。ちょうどタイミングが悪かった。
それら作り置きをすべて冷蔵庫に押し込み、家を留守にした。

そのときの冷蔵庫がこれ。
今年の夏に冷蔵庫が不調になったため540リットルという身の丈以上のサイズの冷蔵庫を買ったのだが、それがいっぱいになってしまった。
それにしてもデカい冷蔵庫は正義だ。料理をしない人、または律儀に毎日できたての料理を提供するのがジャスティスだと思っている人にはデカさは不要かもしれないが、「料理はあれこれ作る。でも、作り置きについて何らためらいはない」という僕にとっては、冷蔵庫はデカければデカいほど都合が良かった。
とにかく、料理を保存容器にどんどん入れていき、それさえなくなったら、今度は鍋ごと冷蔵庫へINできる。
デカい冷蔵庫を買ってみてわかった。「やっぱ、片手鍋が2つくらいは冷蔵庫に入らないと料理がはかどらないわー」。
ちょっとそれはどうかと思うが、正直な感想だ。

今更ながら、パーシャルルームの存在はとても重宝している。
今回のこの有様を見れば、ナルホドソウデスネーと思ってもらえるだろう。
業務スーパー、肉のハナマサをよく使っているので、基本的に買ってくる肉はとても多い。なのでパーシャルは大事だ。なぜなら、肉が微妙に凍っている状態なので、使いたい分だけ取り分けることができるからだ。薄切り肉なら1枚1枚をバラせるので、すぐに調理に取り掛かることができる。
これが冷凍庫だったら、肉はガチガチに固まってしまう。解凍するのに時間がかかるし、電子レンジで解凍したら肉が熱を帯びてしまい白く変色してしまったりする。
で、大量に肉を買うのに抵抗がなくなると、次はあれこれ思いつきで料理を作る、というフェーズに入る。
僕はほとんどレシピを見ることなく、流れであれこれ作る。料理を作るとなると、あれもこれもと同時並行で作らないと気がすまないし、冷蔵庫の中にある野菜が「これを料理で使い切るにはどうすればよいか?」というお題に見えてくるので、片っ端から使い切ろうとする。その結果、作り置きがあれこれできる。
作り置き料理は、場所があるならパーシャルルームに格納される。なにせ、いつ食べるものかを全く想定しないまま、適当に料理を作っているからだ。いい加減すぎる。
この日はこんな状態だったが、その他の日でも作りおきは多い。作り置きがあるから当分新しい料理は作らなくてもいいよ、という時でもダメ押しでさらに料理を作る。時間さえあれば作っている感じだ。
この振る舞いは、自分が認知症の気があるんじゃないかと心配になるが、決して作り置いた料理を忘れているわけではない。単に、「さらに作りたい」だけだ。というのも、
大量の肉や野菜をハナマサ、またはネットスーパーで仕入れてくる(ネットスーパーの場合、送料無料にしたいので購入する量が増える) →
料理を沢山作る。種類もさることながら、量も多い →
作り置きとなった料理の量は多く、一度に食べきれない →
毎日同じ料理を食べるのは飽きるので、違う料理が食べたい →
別の料理を作る
が延々と繰り返されている。
我が家の食卓においては、「2日前の作り置きと、1日前の作り置きと、今日作った料理」が同時に並ぶことはザラだ。ちょっとおかずの種類が多くてエンゲル係数が高くなりがちなので、もっと食事の内容をシンプルにしたいと思ってはいる。
ただ、作り置きたい身としては、「ほうれん草のおひたし」とか「高野豆腐」といった副菜を作るくらいでは満足しない。メイン級のおかずをグイグイと作ってしまう。その結果、慢性的に冷蔵庫がファットな状態になっているのだった。
(2022.10.24)
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