今年も那珂湊であんこうを仕入れてきましたよ

年に一度、茨城県の那珂湊に行ってあんこうを買ってくるのをわが家の恒例行事にしている。

那珂湊漁港の岸壁に添って何百メートルにも渡って並ぶ鮮魚店は壮観で、見て楽しいし買って楽しい。

スーパーでこじんまりとパック詰めになって売られている魚とは大違いだ。魚が原型をとどめたまま、たくさんの種類が大量に並べられている。

お目当てのアンコウを買う。

さすがにまるごと一匹を買って自宅でさばく、というのは無理だ。僕でさえ、「物は試し」ということでチャレンジする気にさえならない。ぐにゃぐにゃした身体のアンコウはまな板の上で切ることが難しい。そのため、「吊るし切り」といってフックで吊り下げて、ブランブランぶら下がった状態のものをさばくのが一般的だ。

アンコウは季節ものだ。寒い季節が旬なので、うっかりグズグズしていて4月に入ってから那珂湊に行っても、もう遅い。なので、「寒いなぁ」と思ったら、とっとと那珂湊行きの計画を立てたほうがいい。「暖かくなったなあ」で慌てるのはよくない。

あと、那珂湊、大洗といったところは道路がひどく渋滞する。早い時間に現地を訪れて、とっとと退却したほうがいい。那珂湊までの道中、あちこち立ち寄って観光しながらお昼ころに那珂湊に到着・・・なんてプランだと、ずいぶん手前から大渋滞で身動きがつかなくなる場合がある。

那珂湊の名物でもある、深海魚のメヒカリ。

僕は揚げる食べ方しか知らないので、毎回小麦粉をまぶして揚げている。衣にちょっと塩コショウを混ぜておくだけで、十分にうまい。

頭を切り落として捨ててから揚げるやり方も多いようだけど、僕はけちくさい人なのでお頭つきのままで調理する。

うまい、といってもこれでご飯が何杯も食べられる!系のうまさではない。「珍しさ5割、サクサクさ3割、味2割」の美味さだ。味だけでいったら卵なしシシャモのほうがうまいかもしれない。でも、那珂湊で買ってきたよ!という旅の思い出としてとても楽しいものだ。

・・・と思ったら、後日、御徒町の有名鮮魚店「吉池」でメヒカリが那珂湊の値段と大差なく売られていたのでびっくりした。メヒカリって東京じゃなかなか手に入らないものだと思っていたのに。

那珂湊価格のほうが安いのだけれど、車代を考えればトータルでみて吉池の方が安かった。うーん、見なかったことにしよう。旅情、風情というのはプライスレスだ、ということで。

アンコウの切り身。

「七つ道具」と言われるように、アンコウはヒレやら皮やら、あらゆる部分が食べられる。中には大してうまくない部位もあるけれど、まあそういうことになっている。

アンコウ鍋を作るにあたって、あん肝が大きい切り身パックを買うか、それとも小さい切り身パックを買うか、毎回悩む。あん肝はアンコウ鍋の最大の特徴だけど、味噌に溶いてほとんど姿を消してしまう。アンコウスープを作るわけじゃないのだから、具はある程度しっかり入っていて欲しい。

なので、あん肝は欲しいけれど、他の具もちゃんと入っているバランスの良い切り身パックをチョイスすることになる。

那珂湊の鮮魚店なので、当然茨城県沖のアンコウだと思っていたが、僕らが買ったのは「北海道産」というシールが張ってあった。あれっ、そうなの?

他にも、安いアンコウがあったので店員さんに聞いてみたら、安いのは海外産なんだそうだ。

せっかく那珂湊にまで買い付けに行っているのだから、食材選びは気をつけないといけない。那珂湊に行った意味がないものを買ってしまう可能性がある。

中華鍋であんこう鍋をたっぷり作る。

もちろん1度には食べられないので、2度、3度にわけて食べる。2度目以降は、あんこうの身から出たゼラチン質のおかげで保存容器の中身が煮こごりのように固まってしまった。加熱すると溶けてまた食べられるようになる。

あん肝を包丁で叩いてみじん切りにし、フライパンで軽く炒めて香りを出し、そのあと味噌と一緒に炒めてから水で溶く。独特の濃厚な味になって、美味しい。他の鍋では出せない濃厚さだ。

今年も無事アンコウ鍋が食べられて良かった。

こうやって「わが家の年中行事」を大小様々に作っていき、「今年も◯◯ができて良かったね、来年も楽しみだね」と家族で語り合えるようにしていきたい。

(2023.01.21)

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