「鴨と葱」という名のお店でその名のとおりのラーメンを食べた

JR山手線、御徒町駅近くのガード下に、びっくりするくらい行列ができるラーメン店がある。僕はラーメンに詳しくないのだけれど、お店の前を通るたびに常に行列ができているので「なんだろう、このお店は」と常に思っていた。

そのお店の名前は、「鴨と葱」という。

名前の段階で、「ああ、これは旨いやつだ」とわかる。そうですか、鴨をラーメンにしちゃいましたか。しかも葱とセットで。

「鴨が葱を背負ってやってくる」という言葉が日本には存在する。美味しい鴨が、さらには葱も背負ってこちらにやってくればすぐに鴨鍋を作って食べることができる。つまり、ものごとが自分の思惑通りに進んでいることを意味する言葉だ。

そんなたとえに使われるくらい、鴨と葱の相性はとても良い。その2つが店名のラーメン店だから、美味しいに決まっている。

でも、行列に並んでまで食べる気にはなれないなぁ、と思って僕は毎回そのまま通り過ぎていた。

ところがある日、同じお店が巣鴨駅の近くに存在することを知った。ありがとうGoogleマップ。Googleマップは今や僕にとって最強のグルメサイトになっている。

試しに巣鴨駅近くの「鴨と葱」に行ってみたら、お昼どきなのに行列ができていなかった。同じお店だとは思えないくらいだ。これ幸い、と行列ができる前に僕はここでお昼ごはんを食べることにした。

看板を見ると、このお店のラーメンは「鴨、葱、水」だけでスープを作っているのだそうだ。鴨肉が美味しいのは間違いないけれど、鴨からラーメンのスープとなるだけのコクを出すのは大変そうだ。豚骨でスープを作るのよりも、手間がかかる予感がする。

鴨らぁ麺。

これは思わず唸ってしまった。「確かに、鴨が葱をしょってやってきたぞ!」と。

スープがうまい。麺もうまい。鴨ロース肉もうまい。葱だってうまい。全部がおいしくて、健康管理に気をつけなくてよいならばスープを飲み干していたくらいだ。

びっくりする美味しさだったけど、余韻はさっぱり。あとになって「ああそうだ、今日のお昼は鴨らぁ麺を食べたんだっけ」とふと思い出すくらいだ。

また食べに行きたいお店、だ。

(2023.02.09)

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