「旬のカレンダー」という本が、僕たちの家には置かれている。
いしは「季節感を我が家にも取り入れたい。弊息子タケにも旬を知ってもらいたい」という理由で、この本を買った。
本の中には、12ヶ月それぞれに旬の食材、魚、行事などが書かれている。
冷暖房完備の家に住み、食料品店に行けば季節に関係なく多種多様な野菜や果物が売られている現代に僕たちは生きている。だからこそ、意図的に「旬」を我が家に持ち込もうと思っている。そうしなければ、だらだらと日々を過ごし、一生を終えてしまいそうだ。
この本を買ったことで、僕たちの家は季節感に溢れた食事やイベントが目白押しになるのだろうと思っていた。しかし、実際は彼女が忙しく、この本を読んで何か実践するということをほとんどやっていない。仕方がないので、僕がちょくちょくこの本に書かれていることを実践しているのが実情だ。
「旬」といっても、時々不思議なものが混じっている。たとえば2月の項目を読むと、「ベイクドチーズケーキ」と書いてある。なぜこれが2月なのだろう?
いしに聞いてみると、「別にいいと思いますよ。『あっそうだ、そろそろベイクドチーズケーキを食べよう』って思い出せるきっかけになりますし」と言う。確かにそうだ。
だから、僕たちの家なりに「1月はトンカツが旬」などと決めてもいい。普段はトンカツを食べない生活だったとしても、「そうだ、1月はトンカツの月だ」と思い出して食べれば、それは「旬」になる。
さて、2月の「旬」を見ると、「レモンパイ」という記述があった。へー。
確かに、果物のレモンは冬が旬の食べ物である。しかし、レモンを使った料理として「レモンパイ」が旬の食材として紹介されているのは意外であった。
レモンパイというのは、ありそうでないものだ。自分が知っている洋菓子店のショーケースを思い返してみても、レモンパイというものは売っていないような気がする。
調べてみると、浅草の近くに「洋菓子レモンパイ」という、その名の通りのお店があることがわかった。そこに行って、レモンパイを買ってみた。
パイ生地の上にレモンカスタードクリーム、メレンゲが乗ったパイ。日本の旬を楽しむために洋菓子を食べる、というのはちょっと不思議な気分ではあるが、食べてみて満足した。うん、これは2月の食べ物である。きっとそうだ。
(2023.02.07)
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