まぐろテールステーキを作ってみる

たまたま立ち寄ったスーパーで、「まぐろテール」が売られているのを発見した。

珍しい。誰が買うんだ、こんな部位を?

もちろん、まぐろテールは決してゲテモノではなく、美味しいレシピがあることは知っている。しかし、僕自身これまでの人生で食べたことがない。それくらい、売られているのを見かけることが少ないし、買う機会はもっと少ない。

たぶん、旅先で立ち寄った魚市場でまぐろテールを見たことはあるはずだ。でも、旅行途中で買いたいと思う食材ではない。その点、今回は家に持ち帰ることができる距離のスーパーでまぐろテールを発見したので買いやすい。

つい、衝動買いしてしまった。今晩は別の料理を作るつもりだったのだけど。

値段が高いならこの食材を買わなかったと思う。でも、100グラムあたり79円であり、8~10センチはあろうかという分厚さでも値段が税別577円とやすかった。これは衝動買いをするしかなかった。

この食材の調理は極めてシンプルに、塩こしょうで味付けをしたステーキにした。

とはいっても、これだけ分厚いと中まで火が通すのが相当難しい。まずはフライパンで表面を焼き、その後ヘルシオで30分以上かけてじっくりとオーブン調理を行った。

焼き上がったのがこれ。良い焼き色だ。

まぐろテールを横から見たところ。

焼いて縮んだとはいえ、まだこれだけの分厚さがある。これは食べごたえがある。僕がナイフとフォークをこの肉塊に突き立てて、家族全員に料理を取り分けると、きっと「ダディ、クール!」と家族中から称賛されるだろう。そんな予感がする。さすが魚の王者ともいえるマグロだけあって、しっぽが立派だ。

「ダディ、クール!」の声をイメージしながら肉をばらしてみて、僕は唖然とした。

肉の中身が真っ赤だったからだ。つまり、全然火が通っていない。肉が分厚すぎて、オーブンで30分加熱した程度では生焼けなのだった。

慌てて料理をキッチンに戻し、肉をバラバラにしてからフライパンで炒めた。「マグロステーキ」の予定が、「マグロ炒め」になってしまったのは大誤算だった。

日本人がイメージするマグロの味というのは、寿司で食べるような生のものだ。加熱してもきっと美味しいだろう、と思ってマグロ肉を加熱すると、それはツナ缶詰の味になってしまう。なるほど、ツナはマグロの肉だな、と今さら当たり前のことに気がつくと同時に、がっかりする。

なので、マグロ肉はあまり加熱しないほうが良い、と僕は思っている。しかし、このまぐろテールは違った。普段食べているマグロ肉と場所が全然違うので、加熱してもツナ缶の味にはならなかった。尾ひれを動かすための筋肉なので、食感は硬い。筋もそれなりにあって、若干食べにくい。それでも、旨味はかなり強い部位だと思った。

これだけ分厚い肉なので、鍋で煮たほうが安定的な美味しさになるかもしれない。数カ月後、もう一度この食材を使った料理にチャレンジしてみたい。

(2023.03.14)

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