ステーキガストの思い出(僕が断酒する直前の行きつけ)

久しぶりにステーキガストを訪れた。ファミリーレストラン「ガスト」のステーキ・ハンバーグ専門店だ。

フォルクスなどと類似の業態で、サラダバーが用意されているのが特徴だ。セルフサービス食べ放題の業態をとる飲食店が大好きな僕は、このお店ももちろん大好きだ。でも、お店を訪れるのは10年ぶりになる。

そもそも「ステーキガスト」自体が少ない。東京都内、または近郊で見渡しても、便利な場所にあちこち存在するわけではない。たまたま僕は近所にステーキガストがあったので、昔はよく通ったものだ。

通った理由は、ここで酒を飲むためだ。肉の量は150g、200gなどと選べるが、コスト重視で一番少ない量で構わない。そのかわりサラダバーをオプションで付けて、サラダやフォカッチャなどを大量に取ってくる。そしてそれを肴に、昼酒・・・いや、大抵は朝酒を楽しんでいた。しかも、平日。

僕が断酒に至る直前は、体調が悪くて会社を休んでいた。なので、昼酒はいたって当たり前だった。

朝10時まで待てば、日高屋がオープンする。そこでおつまみ三種盛りなどで生ビールを飲むというのが第一候補。で、もう少し待てるならば11時に天丼てんやに行き、生ビールと天ぷら盛り合わせのセットを楽しむか、またはステーキガストだ。

「朝10時まで待てば」という言い方をしているように、断酒間際ともなれば飲酒を朝10時まで待つということ自体が苦痛だった。僕が断酒したのは、連続飲酒の習慣がついてしまい、お酒を1日2回、3回と飲むのが当たり前になってしまったからだ。当たり前、というか、飲まないとしんどかった。

しんどいので昼寝したい。昼寝するために酒を飲む。酒を飲むと肝臓が疲弊するので余計しんどい。しんんどいので昼寝したい。昼寝したいから飲む。それを延々と繰り返す。

幸い、僕はほとんどビールしか飲まず、度の強いお酒は口にしなかった。アルコール依存の人たちが、「ブラックアウトするまで飲まないと飲んだ気がしない」と言うが、僕はその境地に達する前にお酒を止められたので助かった。

当時、ステーキガストを頻繁に訪れ、昼間っからビールを頼んでいたので、午前中シフトに入っている店員さんとはすっかり顔なじみになっていた。なので、僕が入店して着席すると、黙っていても生ビールが卓上に届けられたくらいだ。

僕が断酒してからこのお店を訪れた際、うっかり生ビールを持ってきた店員さんに「あ、僕お酒が飲めなくなっちゃったので・・・」と伝えるとすごくびっくりされたものだ。今でもそのことはよく覚えている。

そんな思い出が詰まっているステーキガストに、10年ぶりに訪れた。昔と同じ、チキングリルにサラダバーをつけて食べる。昔と違って、妻と2歳になる子どもと一緒に。

お酒という楽しみが失われてしまったのはとても残念だけど、今こうして一緒に食卓を囲む家族がいる生活を送ることができたのは断酒のおかげだ。しみじみと自分の人生を振り返り、小規模ながら波乱万丈な人生を送っているな、と感慨に浸った。

なお、お酒をやめる直前に血液検査をした結果では、γ-GTPが1,400、中性脂肪が600ということで入院しても良いレベルだった。コレステロールを下げるための薬、リピトールが処方されたくらいだ。しかし、お酒をやめた途端に数値が改善し、抗酒薬ノックビンの服用は4ヶ月、コレステロール低下薬リピトールに至っては2ヶ月で終了させた。医者から、「リピトールをこんな短期間でやめる人は見たことがない」と言われたくらいだ。

自分がビールを愛していたということは今でも誇りに思っている。そしてそのおかげできっぱりお酒をやめることができたのも良かった。懐かしい思いを胸に、家族で楽しい食事時間を過ごした。

(2023.09.09)

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