サラダバーは楽しいけれど、無くてもよいものかもしれないと思えた一食【やさいの王様】

銀座界隈に用事があったので、お昼ごはんを食べる場所を探していて偶然見つけたお店。「やさいの王様」という。

雑居ビルの7階にあり、ちょっとわかりにくい立地条件だ。そのせいもあってか、ランチが1,000円からと案外安い。

1,000円もするのに安いというなんて、金持ちぶるなよ!と謗られそうだが、ここが銀座であるという立地条件を考えれば安いとしか言いようがない。そもそも、銀座に限った話ではなく、今やランチで1,000円を払うことに対してさほど恐怖心がなくなってきた。

この心境の変化というか、コスト感覚の変化はここ数ヶ月のことだ。その間に僕の羽振りが良くなったわけではないので、単に食費がかさんでいるだけだ。それでも「ランチ1,000円はしょうがないなぁ」と思えるくらい、この1年で世の中の物価はバク上がりした。

もちろん、1,000円以下で食べられる食事は今でも世の中にはたくさんある。いくら物価高とはいえ、ランチで1,000円というのは贅沢の部類だ。ただ、気晴らし・気分転換にメシを食いたい!という僕の憂さ晴らしにつきあってくれるメシを探すとなると、都内の中心部界隈ではやっぱり1,000円は覚悟しなければならない。

もちろん、食後の満足感と支払う金額とがまだ折り合いがついていない。なので、「だったら外食はいいや」となって、家で冷凍パスタをレンチンして食べている日も多い。

このお店を選んだのは、山盛りの野菜のおかわりが無料でできる、というスタイルに惹かれたからだ。

野菜のおかわりといえば、サラダバーを連想する。でも、このお店はサラダバーではなく、単に野菜の追加が届けられる。ありそうで、あんまり見かけないスタイルのお店だ。

そういえば、追加野菜が届くといえば、とんかつ屋におけるキャベツおかわりのパターンがあるな。

お店は穴場感がある。待ち行列が出来ていたら入店をやめよう、と思っていたが、空席があった。

通された席にはタブレットが置いてあった。ここでメニューを見て、注文をするスタイルだ。

ランチメニューが写真入りで紹介されている。値段は1,000円から1,480円(税込)。

ワンプレートで提供され、メイン料理は小型のスキレットの上に盛られている。そして何よりも目を引くのが、山盛りの野菜だ。まるで牛が食べる牧草のようだ。

おかわりもタブレットから注文できる。

サラダ、スープ、ライスが無料。ただし、サラダのおかわりは2回まで、という制約がついている。そして、サラダ用のドレッシングを使い切ってしまったら、追加のドレッシングは有料だ。山盛りサラダだからと嬉しくなってドレッシングを使いすぎないことが大事だ。

それにしても、スープもライスもおかわり自由で、サラダは回数制限がある、というのが面白い。制限をつけておかないと、際限なく食べる客がいるということなのだろう。

注文した料理が届いた。

ビジュアルの勝利。これは嬉しい。ワクワクする料理だ。

ワンプレート料理って僕はあんまり好みではないのだけど、これはむしろワンプレートだからこそ心がときめく。松花堂弁当的なスペシャル感を覚えるというか。

そもそもなんで僕がワンプレート料理を好まないのだろう、と自分の過去に思いを馳せてみたら、思い当たったのが学生時代に食べたびっくりドンキーのハンバーグディッシュだった。サラダのドレッシングとハンバーグの肉汁とが混ざった液が、ご飯エリアに浸水しているという状況がどうも僕には苦手だった。その感覚がまだ残っているのだろう。

それにしてもこのサラダの盛りにはにっこりしてしまう。メニュー写真通りのうず高く盛られた野菜は、食べるのが待ちきれない。

ランチ料理はこういう盛り付けにしよう、と考えた人はすごいと思う。

おかわりしたサラダ、ライス、スープ。ライスとスープは別皿で届けられた。

ワンプレート料理なので、店員さんがサラダが入ったボウルとトングを持ってきて、サラダをプレートに盛るかもしれないと思ったが、さすがにそれは手間だし、プレートの上がゴチャゴチャするのでやらないのだろう。

サラダは、キャベツがまったく含まれていない。レタスと水菜がメイン食材だ。キャベツの千切りは好きな食材だけど、物珍しさが全くない、ときめかない食材なのは間違いない。その点、キャベツなしのサラダというのがなんと楽しいことよ。このサラダを噛み締めて、つくづく「ああ、野菜を食べてるな」と思う。キャベツだって野菜なんだけど、なんだかあれは日常生活に寄り添いすぎて、「野菜を食べている感」は乏しい。

とても満足いく料理とお店だった。物価高のご時世なのに、銀座にもこんなお店があるのだなぁ、とびっくりした。

(2023.09.13)

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