初めて行ったお店で名物が2つあるならば

神楽坂にある中華料理店にお昼ごはんを食べに行った。初めて訪れるお店だ。

以前、このお店の近所にある麻婆豆腐専門店を訪れた際、このお店の前にできている長蛇の列に気づき「何だこのお店は?」と疑問に思った。それが、僕がこのお店のことを知るきっかけだった。

その程度の出会いなので、実際に入店待ちの行列に並んだ時点でようやくこのお店における人気メニューについて学ぶことができた。

最近の僕は、できるだけ飲食店の事前情報収集はしないようにしている。

もちろん、名物料理の紹介記事や、料理の写真を見て「おお!」と興奮し、早くこのお店に行きたい!と思うこともある。でも、それよりも料理の情報を仕入れると、「面倒臭いなぁ」という気持ちの方が強くなってきてしまった。というのも、お店や料理の情報を知ってしまった以上、そのお店に行かないという後付けの理由をいくらでも列挙することができるからだ。

たとえば美味しい唐揚げがランチタイムは食べ放題の定食屋さんがあったとする。唐揚げの写真や、オーダーの仕方や、料理の値段など全部下調べをし、「よし、機会があったらこのお店に行ってお昼ごはんを食べよう」と心に決めたとしよう。

しかし、いざお店に行こうと思うと、面倒くさいなぁ、と僕の心が揺らぐ。「唐揚げだったら家で揚げれば安くて大量に、好きなだけ食べられるぞ?」と。

なんでもそう。海鮮が美味しいお店がある、と知っても、「スーパーで刺し身を買ってきたほうが安い」と思い始める。

最近の僕は、平日昼間に、誰もいない家でのんびりとお昼ごはんを食べるのが心の安らぎだ。撮り貯めたまま見ていない、録画済みのTV番組を早送りで見たり、ノンアルコールビールを飲んだりしながら過ごす。気持ちが弛緩して、とてもいい。これがランチを外食するとなると、心が休まらない気がする。

特に、最近の外食は物価高の影響で相当値上がりした。飲食店の料理の値段を見て、「これだったら、家でご飯を食べたほうがいいや」と思うことが増えた。節約のためというより、料理の値段と、それによってもたらされる僕自身の満足度とが釣り合っていない気がするからだ。

で、昼間に自炊するほどの時間の余裕も気力もないので、スーパーで惣菜を買ってきたりパン屋でパンを買ってきたりするのだが、気が緩んであれこれ買ってしまい、外食と大差ない出費になることがしばしばある。

話を戻すと、神楽坂の中華料理店では、チャーハンが有名だ、ということをお店に並んでいるときにようやく知った。なるほど、チャーハンか。じゃあそれを頼もう。

でも、メニューを見ていて気になるものがある。それは、店名を冠したラーメンだ。店名をわざわざメニュー名に取り込んでいるということは、お店としては相当の自信作なのか、看板メニューなのだろう。これも気になる。

結局、チャーハン800円とりゅうほうめん800円を頼んでしまった。チャーハン半分、というメニューはないので、両方とも1人前の量がある。ひとりでかなりの量のお昼ごはんになってしまった。50歳手前のデスクワーカーが食べる食事の量でではない。

正直言って、この注文をした後、僕は「頼みすぎたかなぁ、今回はチャーハンだけにしておけばよかったかなぁ」と後悔した。でも、二度目三度目の来店がいつあるかわからない。今回で十分完結できるよう、食べておいたほうが良い、と気を取り直してこの2皿の料理を食べた。

両方とも、噂に違わぬ美味しさでとても嬉しかった。良い料理に出会えた。店頭に長い行列ができる理由もこれでわかった。で、このお店の状況把握がなんとなくできてしまったので、むしろ再訪するチャンスが減少した気がする。

(2023.11.14)

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください