ブチギレながら蕎麦を作る【年越し蕎麦2023】

20年以上続いている、我が家の年越し蕎麦打ち。

20年も続けば、おかでん家の家族構成の変化とともに蕎麦はあった。蕎麦を打ち始めたころはまだ祖母がいた。祖母がいなくなった後は兄貴が結婚し、じきに姪二人が家族に加わった。そして最近になって、僕が結婚し子どもが生まれたので、年末におけるおかでん家は過去最高に大所帯となっている。

昨年までは弊息子タケは蕎麦を食べさせなかった。アレルギーが出たら困るからだ。しかし、事前に彼に蕎麦を与えてみて、どうやら彼に蕎麦アレルギーがないらしいことがわかったので、今年の年末からは彼も年越し蕎麦を食べることになった。

今年は総勢9名の蕎麦を用意しなくちゃいけない。下は2歳から上は80歳超まで。食べざかりの10代は1名いるものの、思春期真っ盛りの女性なのでガツガツ食べるわけじゃない。どれくらい食材を仕込んでおけば良いのか、思案のしどころだ。

12月30日、僕は母親のおつかいを頼まれて鮮魚店に行った。ブリとエビを注文してあるという。

初めて行く鮮魚店で、そこは仲卸のようなお店だった。聞くと、近所の有名旅館などに卸している、地元からの信頼があついお店なんだそうだ。

東日本だと、年末年始にカニやマグロを食べる習慣の家庭は比較的多いと聞く。しかし西日本なら、なんといってもブリだ。我が家は、デカいブリを半身買った。刺身で食べるわけではなく、煮付けにしていろいろな料理に使う。

魚屋さんにお金を支払う際、「ブリのアラはいりますか?」と聞かれたので、何も考えずに「はあ、じゃあ頂きます」と答えた。せっかくだから、ブリのアラを使って蕎麦のダシをとろう。

鍋に水を張り、そこにブリのアラを入れる。ギョロっとしたブリの目がちょっと怖い。

で、アラをぐつぐつと煮る。目が怖いので、煮て煮て煮まくる。

アラからダシを取る時、どうすればよいのか正しいお作法なんて全然知らない。とりあえず強火がグラグラやりながら、骨から細かい身をほぐしておく。この身は蕎麦の具として使えるだろう。

9人分の蕎麦つゆともなると、かなり多くのつゆを用意しておく必要がある。つゆなんてどうせ飲まないよ、と食べる立ち場としては思うのだが、実際に蕎麦の麺がつゆからはみ出て氷山のようになっていたら、なんとも見栄えが悪いしそもそも美味しくない。やっぱり、蕎麦はアツアツのつゆにひたひたに浸っていなくてはだめだと思う。

そんなわけで、この鍋いっぱいにつゆを作ってようやく9人前くらいだ。

先程のブリのアラでは、ちょっとダシをとるには量が少ない。なので、鰹節を投入してダシをとる。理想は駅の立ち食い蕎麦みたいに、横を通り過ぎただけでぷーんと鰹節と醤油の辛くて香ばしい香りがする、あの濃い匂いだ。でも、そこまでギュンギュンに濃いつゆを作る度胸がないので、未だに一度も実現したことがない。

せめて、鰹節は多めに使いたいところだ。

・・・って、あれれ!今気がついた。この鰹節、ダシをとったあとはザルとキッチンペーパーで濾し取るんだけど、そうするとさっきのブリのアラからとった細かい身も濾し取られてしまう。せっかく、具が一つ増えた!と思ったのに。

濾し取った後のつゆ。キッチンペーパーをろ紙代わりにして濾しているから当たり前だけど、ブリの身は何一つ残っていなかった。ちょっと勿体ない。でも、ブリのダシはとれているはずだからドンマイ。

大量の鰹節でダシをとると、ろ過した際に鰹節に多くの水分を持っていかれてしまう。そのため、さっきと比べて随分と水位が下がってしまうので注意だ。

そば打ち。

今回も、姪っ子メインでそば打ちをやってもらった。下の姪っ子は健気で、「疲れた」と言いながらもよいしょよいしょと蕎麦を最初から最後まで打ってくれた。蕎麦は2回に分けて打ったのだけど、2回目は彼女がギブアップしたので僕が打ったけど。

中学生の上の姪っこは、数年前に既に蕎麦打ちを卒業してしまった。昔は姉妹で蕎麦打ちをやりたがり、「私が」「いや私が」と順番を奪い合っていたものだけど。お年頃になると、こういう粉まみれになる行為は楽しくなくなるのかもしれない。

一方、今年から弊息子タケも蕎麦打ちデビューを果たした。小さい子どもは、こういうことは大好きだ。彼もまさに目を輝かせて蕎麦の生地を包丁で切る体験をやった。いずれ下の姪も蕎麦打ちに興味を無くす時期が来るかもしれない。そのときには彼に蕎麦打ちを引き継いでもらいたいと僕は考えている。

最近、鴨南蛮や肉南蛮といった蕎麦を出すことが多かった。いい加減僕が飽きたので、今年は違う蕎麦を作ることにした。思いついたのが、卵とじの「かきたま蕎麦」だ。これだったら見た目は華やかだし、楽しんでもらえると思う。

しかし、いざ作ってみたら大変だった。なにしろ、ふわふわの出来立てかきたまを提供する僕は、蕎麦を茹でながら1~2人前ずつつゆを加熱し、溶き卵を落とし・・・と大忙しだ。スーパーで売っている袋麺の蕎麦と違い、手打ち生麺は茹でた蕎麦を水にさらしてぬめりを取り、それを再び軽くあたため直し、水切りしなくちゃいけない。その工程のうち一つでもサボれば出来が悪くなる。

おかげで、殺気だった雰囲気で蕎麦を出すという、なんともおめでたい年末っぽくない雰囲気の食事となった。

味は高評価だったものの、オペレーションに改善の余地がある。ふわふわかきたまは諦めて、事前にかきたまを作り置きしておくなどの妥協が必要だろう。

来年はけんちん蕎麦にでもしようかな。

(2023.12.31)

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