キッチンDIVE、という名前の24時間営業のお弁当屋さんがある。
亀戸、御徒町、水道橋の3店舗なので、都内西側の人たちには馴染みがないお店だろう。でも、「これでも喰らえ!」という迫力ある弁当を売ることで知る人ぞ知るお店だ。
大盛り好きだと僕は自認していたけど、このお店のお弁当を前にすると、なかなか購入する気になれない。あまりに真正面から清々しく大盛りなので、尻込みしてしまうからだ。
「お前はこの弁当を最後まで楽しく、気持ちよく食べられる自信があるのか?」とお店に問われているようで、気力体力が揃うまではちょっと辞退します、と答えてしまう。
このお店の弁当を見たあとにコンビニ弁当を見ると、到底納得できない。(キッチンDIVEの弁当と比べると)量が少なすぎるからだ。
今回、ようやく弁当を初めて買った。まだ気力体力が満ちていない気がしていたのだけど、このままではいつまで経っても買わない気がしたからだ。
買ったのは、「1kg弁当」。すごいぞ、この重さは。弁当だと思って手にすると、ありえない重さにギョッとする。だって、1kgだぞ。砂の塊を持っているような感覚になる。
「肉1kg」なのではなく、お弁当が1kgだ。なので、ご飯がお弁当の大半を占めているのは当然のことだ。にもかかわらず、見よ!この肉の量を。いくらご飯が重たくても、お弁当の総重量を1kgにするということは肉も当然多い。びっくりするくらい多い。お前が思っているよりも3倍くらいは多い。
だって、牛丼みたいな薄い肉じゃないんだから。ちゃんと厚みのある、角煮のような肉だから。
そして、何よりもびっくりするのが、食べる時のバランスの悪さだ。1kgの弁当箱を左手で持ち、右手で箸を握る。最初のうちはなんの問題もないが、食べていくとだんだん弁当箱の重心が崩れてくる。うっかりすると、弁当をばしゃっとひっくり返してしまいそうになる。冗談ではなく、本当にそんな危険性があるのが1kg弁当の凄みだ。
強烈な体験を、見た目にも胃袋にも二の腕にも与えてくれる弁当だ。でもついでに補足すると、金銭的にもちょっとびっくりする。これだけの肉を入れていることもあって、1,100円するからだ。
「それだったら、500グラム弁当が550円であればちょうどいいな」
と思ってしまうが、それじゃ意味がない。やっぱり1kgはロマンだ。「よくやった!」とガッツポーズしたくなる、一つの到達点だ。
今回、1kgを食べられてよかった。
ただし、「これを食べれば、シンプルに体重が1kg増えるのか・・・」と考えてしまい、それはそれで残念ではあった。
(2024.01.04)
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