海鮮丼バイキングが本当にハッピーなのかどうか、考えこんでしまった

上野と御徒町の間にある居酒屋、「沼津港海将」。以前からランチタイムはバイキング形式で料理を提供している。

店名に「沼津港」を標榜するだけあって、お昼時は刺身類を並べ、海鮮丼バイキングを謳っていたらしい。しかし、僕がこのお店の存在に気がついたときは、海鮮丼バイキングを中止していた。原材料高騰だかなんだかの理由で、生鮮の海産物を提供するのが難しくなっったらしい。

そのかわり、値段を下げて、揚げ物バイキングのお店になった。アジフライとかカキフライといった、海にゆかりのあるフライが多いし、シメサバなどを提供することで「まだ海産物を諦めたわけではない」という意欲を示し続け、捲土重来を狙っている様子だった。

僕はこの揚げ物バイキング時代に2回ほど訪れたことがある。

45分で1,200円。

45分ってものすごくせわしない印象を受けるが、時間に余裕をもって退店することができた。さすがに50歳近い歳になると、元を取ろう、腹いっぱい食べて夕食を浮かせようというがっついた気持ちは毛頭ない。単に「食べ放題、何をどういう順番でどれだけ食べる?」というワクワク感を楽しみたいだけだ。だったら、45分あれば十分だ。それだけあれば、一通り食べることができる。

「カウンターに並べられた料理をひととおり食べる」ということはやる。この煩悩は、歳を重ねても変わらない。

あと、白身魚フライを何枚も食べたいとは思わない。唐揚げだって、ぼくの好物ではあるけれど食べ放題で食べまくろうという気にはならない。「ああ、海鮮丼バイキングが復活すればいいのにな」と食べながら思ったものだ。

そんなこのお店が、満を持して海鮮丼バイキングを復活させた。2024年2月からだ。お値段は1,200円から1,700円へと値上がりしたが、お店が廃棄ロスの恐怖と戦わないといけない海鮮丼バイキングならば、500円値上がりでも仕方がないと思う。

さっそくこのお店を訪れてみた。

1,200円揚げ物バイキング時代は、店の外に若干の行列ができてることが多かった、1,700円海鮮丼バイキングになってからは店の外の行列はなかった。ちょっと値段が高くて、手が出しにくい価格だ。しかも、45分一本勝負なのでとにかくせわしない。ゆっくりと食べて、友達とおしゃべりして、お茶を飲んで退店というわけにはいかない。

並んでいる食材は、


スタミナホタテ、明太子、釜揚げシラス、赤マンボウ、メカジキ、シメサバ、カツオ、真鯛、サーモン、ネギトロ、キハダマグロ漬け、キハダマグロ。


これとは別にカキフライなどの揚げ物が何品かある。海鮮丼を作るには十分な種類だ。

丼にご飯を少量だけ、盛る。できるだけ刺身類をたくさん盛りたいからだ。ご飯を食べてお腹いっぱいになりたいわけじゃない。できるだけ魚介を取りたい。

そして、全種類を丼に盛り付けて監視した海鮮丼が、これ。生姜やネギといった薬味も用意されていて、ありがたい。

本当に丼いっぱいの海鮮丼が誕生し、ちょっとした達成感を覚えた。

で、さっそく食べてみたのだが、盛り付けているときの楽しさと比べて食べているときの楽しさは微妙だった。というか、あまり美味しいものではなかった。

魚の質が悪いなどとお店を非難するつもりはない。そうじゃないんだ、僕がやった「ご飯そっちのけで刺し身を盛りまくったこと」が味を落としているんだ。

つくづく思うのが、刺し身というのは一切れずつ箸でつかみ、醤油にちょっと浸して食べ、その後にご飯を食べるとか酒をクッと飲むとか、そういうのが最高だ。一方、海鮮丼(ほとんどご飯なし)の場合、刺し身をどんどんと口の中に放り込んでいくことになる。そうすると、くちゃくちゃとした歯ごたえがだんだんと鼻についてくるし、魚特有の生臭さも感じられてくる。

何事もバランスが大事だな、わかってはいるんだけどな、と思いながら、とはいえせっかくだからともう一回海鮮丼のおかわりをしてお店を後にした。

刺身をバイキング形式で食べられるお店としては、浅草橋にある「たいこ茶屋」が有名だけど、このお店もいずれマスコミに取り上げられて行列店になることだろう。それまでにもう一度行ってもいいな、と思っている。今度はご飯と海鮮のバランスを両立させ・・・いや、多分無理だな、やっぱり刺身を盛りすぎると思う。

(2024.02.08)

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