木村 拓:Glasshouse@POST

POST

恵比寿の南、路地を入ったところにある小さなギャラリー。

外観からでは、個展をやっていることさえわからない。外から中を覗くと、オサレな洋書などが並んでおり、何屋だかよくわからない。

木村 拓:Glasshouse

例のごとくなんの事前情報も持たずに訪問。

木村さんなる人物のことも、展示されているもの自体もよく分かっていない。

で、ずらりと並ぶ写真を眺める。

なんだろう、これは。 温室の中の写真を撮っている、というだけの情報は持ち合わせていたのだが、それにしても何を撮影しているのかがよくわからない。 温室の植物?いや、建物? 中には、来場者がモロに映り込んでいるような写真もあり、一歩間違えれば「うっかり手が滑ってシャッターを押しちゃった」写真の域だ。(もちろんフォーカスはぴったりあっているので、そうではないということは歴然としているのだが)

数十枚の写真をうんうん唸って眺めていたが、だんだん「何を撮っているのか」なんてどうでもよくなってきた。温室という不思議な構造な建物と、その中に息づく植物たち。その対比がちょっと面白くなってきた。

ここで作家の木村さんに声をかけられた。やたらと僕がじっくり眺めているので気になったのだという。

すいません、作品性については何もわからんのです。だからむしろじっくり見てたんです。

木村さんによると、ヨーロッパにある温室は日本にはない独特な形状をしており、その中に展開される空間が面白いので撮影をしたのだという。

一見なんだかわからない写真にもそれぞれちゃんとテーマがあり、「これは扉」「これは柱を撮影したもの」「これは道」と作家自ら解説を受けると、なるほど合点がいく。膝に手を打って納得した。

屋内の光と影に興味が有るとのことで、絵画ではフェルメールなどから脈々と続くそういう作品性を意識しているとのこと。

このあと、絵や写真の流派の話や建築の話をお伺いしたが、理解できなかった。残念ながら、美術史は全く疎い。でも、そういう「知らない話が耳から入ってくる」というのはとても幸せな事だった。刺激的で、楽しい。

残念ながら、作品を購入しようという気にはならなかったが、いい時間を提供してもらえて良かった。

(2013.11.19)

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