ニセモノを楽しむという観点は、「なんでも鑑定団」で花開いたが、まさか博物館でも展示するとは。
本来、美術館や博物館というのは、必要に応じてレプリカを展示することはあっても、明らかにインチキなものを展示することはない。それが今回は日の目を見ているのだから、ニセモノ冥利につきるというものだ。
展示された掛け軸などに一言コメントが付き、「これは印が間違っている」とか「迫力がない」と評されているので面白い。ただし、じゃあホンモノはどうなんだよ、という比較が展示されていないので、正直よくわからない。
ホンモノを展示するためには大量のカネがかかるし、手続きが面倒だったんだろう。そういう点では手抜きと言える。せめて写真パネルでも用意して、本物の作家はこんな作風なんですよ、ほらニセモノは微妙ですよね(または、よく再現していますね)、というのを見せて欲しかった。
あと、その一言コメントの多くは、真偽のほどを曖昧な表現に留めているのが気になった。おそらく、作品の殆どは個人蔵のものであり、それを「ハハハ!ニセモノだ!」と笑ってしまっては出品者に申し訳ない、という遠慮が働いたのだろう。
(2015.05.03)
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