今年最大級の衝撃と興奮。なんじゃこりゃーって感じ。
なんか初台で展覧会やってたな、程度の知識しかなく、現地入りした。毎度の事だ。
「初台だから、多分東京オペラシティアートギャラリーのことだろうな」と、場所すらろくに覚えていないくらいだ。
で、入口で「高橋コレクション展」というタイトルを見る。なんだこれ。
ミラー・ニューロンって聞いた人がない作家?の個展タイトルか?
そんな気持ちのまま中に入ったらびっくりですよもう。いきなり、草間彌生の作品がずらりと並んでる。えっ?というくらいに。
水玉模様のカボチャで、日本の現代アートでも特に知名度の高い草間彌生だが、その人の「水玉模様じゃない」作品って初めて見た。なるほど、こういう作品があってこそのあの水玉作品なのか、と感心させられる。
そのまま次の部屋に移ったら、「マイ・ロンサム・カウボーイ」という全裸男性が自慰をする形状のフィギュアで日本現代アート市場最高値である16億円がついたことで知られる、村上隆の作品も。
他にも、「むっとした顔の少女」の絵でおなじみの奈良美智とか、とにかくポップで元気があって楽しい「日本人による」現代アートばっかりが並んでいる。どれも珠玉の作品ばかり。
すげええええええ! ベストアルバムを聴いている感じ。いや、違うか。紅白歌合戦で、超有名なミュージシャンが勢揃いして共演しているようなものか。
「高橋」ってのは、これら作品をコレクションしている精神科医さんのお名前。日本の現代アートを中心に、とても筋のいい蒐集をしている。 いや、僕ごときシロウトが「筋がいい」なんて評するのはおこがましいが、とにかく僕の趣味と相性が良かった。
この調子なら、僕が大好きな相田誠の作品もあるだろうな・・・と思ったら、案の定あった。というかこれ、美術館で見たヤツや!
以前、東京国立近代美術館で、台湾のヤゲオ財団が蒐集した現代アートコレクションを見た時も激しく興奮したものだ。 やっぱり、コレクターが集めるのって、美術館と違ってエキサイティングだ。もちろん、そのコレクターと趣味嗜好が違ってれば、ドハズレになるのだが、好みの方向が近ければ、もうひたすら出てくる作品がメインディッシュ級のものばかり。
美術館は「美術史」を意識して作品を蒐集したり企画展を開催するのだが、コレクターは「今俺が欲しい物、買える物」という欲望に忠実だ。だから、イントロとかAメロみたいなのをすっ飛ばして、サビの曲がエンドレスで続くような感じ。それが今回の展覧会。
それにしても驚き呆れるのが、Mr.のようなアニメ絵の作品を集めつつ、森村泰昌のギャグめいた作品も集め、さらにはアラーキーの写真だとか果ては「原爆ドームの上に『ピカッ』という飛行機雲を描く」という作品で物議を醸したChim↑Pomまで揃えている。その許容範囲の広さには本当に驚かされる。
この調子だったら、展示こそしていないけど、女性器をかたどった作品でわいせつ物だと裁判沙汰になった、ろくでなし子のものさえ持っているかもしれない。
これだけのすごいモンを一度に見せられたら、記録として残しておきたくなった。 というわけで、僕は展覧会で初めて、公式図録を買った。現代アートの総集編というか、教科書的に使えるんじゃないかと思ったからだ。こんな気になったのは初めてのこと。
コメント