出光美術館は、17時に閉館してしまうというなんとも気の早い施設だ。
16時半にもなると、閉館30分前を告げるアナウンスがある。
1階のエレベーターホールには、老舗和食屋の下足番よろしく、「美術館に行くエレベーターの『上の階』ボタンを押す専門の人がいる。ご高齢の方だ。
他にも、館内のあちこちにいる「見張り」のような人は、一旦出光をリタイアしたであろう人たちが配置されている。
定年退職後の方の再雇用として、美術館は確かに面白いと思う。しかしそれにしても、エレベーターのボタンを押すだけの人がいるってのはやりすぎだとは思う。
田能村竹田は特に晩年、緻密すぎる掛け軸をよく描いている。正直、ガラス越しで見ても何が描かれているのかよく読み取れないくらいだ。
しかし、ガラス部分にその絵の特徴的なパーツ(描かれた人の部分とか)が拡大され、貼り付けてあるので「ああ、この部分はこういう表現になっているのか」とわかりやすくて良かった。
でもうっかりすると、そっちの複写ものばっかり魅入ってしまい、ホンモノの絵の方を見なくなってしまいそうで、それはそれで怖い。
(2015.07.07)
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