スイスの出版者でありデザイナーである、ラース・ミュラーが手がけた本がずらりと並ぶ展覧会。
並べられた本は実際に手に取って中をみることができる。
ラース・ミュラーは、「デジタル書籍の時代になってきているけど、紙媒体の本の魅力が失われることはない」といった趣旨の事をインタビューで語っていたが、実際に展示されている本を見ると納得がいく。いろいろなサイズ、色合い、形の本が並んでいるからだ。
重さも、質感もそれぞれで、こりゃKindleじゃ再現は無理だというのが露骨にわかる。
逆に、日本の書籍というのはデザインが画一的であり、面白みが少ないものなんだな、ということにも気がつく。
少なくとも、本屋に並ぶような書籍というのは、「本棚に収まりの良いようなサイズ」であり、「コレクションした際に見栄えがよくなるような統一フォーマット」が好まれているんだということだ。
ラース・ミュラーの本とは真逆だ。 もっとも、ラース・ミュラーが手がけた本というのは、「意識高いお店」なんかで、インテリアとして「表紙がこっちを向いて陳列されている系」の本だ。大衆向けの本とはちょっと住んでいる世界が違うので、比較するだけ意味がないのは事実。
ためしに一冊読んでみよう、と僕の趣味にとても良くあった表装の本を手に取ったら、ザハ・ハディドの建築物について写真や絵付きで紹介しているもので、思わず苦笑してしまった。
(2015.08.07)
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