ゴッホ展の1フロア下でひっそり行われている展覧会。2つの展示が同時。
ゴッホのコテコテした油絵を見た後なので、随分心が癒やされる気がする。ゴッホは、その表現力はすごいと思うが、あまりずっと見ていたいとは思わない絵だ。
写実的な絵を、まずは見る。
静物の絵は、磁器が光をうっすら反射する様がまるで写真のようで、「どうやったらこんな絵が描けるのか」と驚かされる。 しかし、リアリズムを追求し、写真そっくりに描けば描くほど、「だったら写真でいいじゃないか」という疑問を感じる。「ああ、絵がとってもお上手ですね。で?」と思う。
・・・だったけど、裸婦像を見て、ああこれは絵ならではだな、と思った。エロい目で見てしまったのは内緒だけど、だからこそ、「あ、これは写真のようでフェイクだ、現実のようで理想だ」と思えた。
「絵」になったとき、やはり何らかの編集加工というか、情報の省略や追加が作家によって行われている。その「微妙な味付け」こそが、こういう写実的な世界の面白みなのだ、と気づいた。
そうやって改めて作品を見て回ると、面白い。 写真そっくりの精密な絵を描く人の作品群を見たあと、もうちょっとデフォルメが強くなっている人の作品も見る。それは、より一層虚構と現実の境目がはっきりしていて、なるほどそういう表現もあるのか、と楽しめる。
とても楽しい展示だった。裸婦の絵の印象があまりに強いけど。あれは本当に素晴らしかった。男性目線で、だけど。
(2017.11.24)
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