
19世紀後半から20世紀前半まで活躍したフランス人写真家、ウジェーヌ・アジェを回顧しつつ、その作品に影響を受けた後世の写真家の作品を展示するイベント。
アジェの作品自体は、何の変哲もない建物だったり、町並みだったり、人々だったり、素材が素朴。予備知識なくこれらの写真を見ると、「ん?」と首をひねるくらい、ありきたりな写真が多い。
とはいえ、今となっては19世紀のパリの様子を生き生きと残す貴重な資料になっているので、時間の経過というのは面白い。 あと、レオナール・フジタといった名だたる画家たちや建築家たちが、参考資料としてアジェの写真を購入していたというのも興味深い。いわゆる「素材」だ。
写真の右下に「(C)アフロ」って書いてあるような写真、というわけだ。
あんまり人間の営みについて深く切り込んだ作風には感じないのだけど、日本人写真家の代表格であるアラーキー氏がアジェを敬愛する作家の一人として挙げていて、アジェの作品には<情交>があって<私情>がある、といっている。
おそらく、写真というのは、何を被写体にするにしても、普遍的な「写真家としての心情」みたいなものが存在するのだろう。
(2018.01.12)
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