
ハプスブルグ家に愛された磁器製作所、ヘレンド窯。その作品の数々を紹介するという展覧会。
ティーカップやポット、平皿、人形などさまざま。 どれも精巧なデザインと絵付で、美しい。

しかし、あまりに美しいので、実用性がなさそうに見える。だから、僕にはどうも興味が沸かない。
いや、昔の王侯貴族は、こういうド派手でお金のかかっているものを、さぞ当たり前のように日常使いしていたのだろうか。
していたんだろうな、きっと。それが金持ちだもの。
一方、ドがつくほどの庶民の僕だと、 「ああ、これだと取っ手がパキッと折れそうだ」 「食洗機に入れたらアカンやつだ」 という観点ばっかりで作品を見てしまう。根底に、「観賞用の食器」という概念が全くないからだ。
実家だと、テーブルの上に絵付け皿が飾ってあったりする。でもそれは一戸建ての家だからできるのであって、僕が今住んでいるようなアパートではそんなスペースはない。
「食器というのは、食器棚の中に片付けられ、隠されているものである」 という発想しかないので、こういう美しいものを見ても心がときめかないのだった。 喫茶店に入って、金細工が縁に施されているようなカップで珈琲が出てきただけでもソワソワしてしまう。
(2018.01.19)
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