
美術、特に日本画の世界に非常に疎い僕であっても、中学時代からその名をよく知っていた画家がいる。
それは「円山応挙」だ。 なんでこんな渋い画家の名前を知っていたのかというと、当時の僕がオカルト好きだったからだ。日本の幽霊は「足がない」というのが定番だけど、これは円山応挙が足が描かれていない幽霊画を書いて以降のことだという。
ちなみに諸外国の幽霊は足がある。足音もする。映画「ゴースト/ニューヨークの幻」なんて、足があるどころか実在の人間と一緒に陶芸までやっている。
なので、応挙といえば幽霊画専門家、くらいにしか思っていなかったのだけど、そうじゃなかったのね!というのを教えてくれたのがこの展示。
応挙作品で唯一の国宝、「雪松図」が三井家の所蔵で、三井記念美術館で展示されていた。六曲一双の屏風。
美術館で実物を見るまでは、てっきり「国宝」なのは「雪松図と花鳥」という作品なのだと思っていた。本当に何も下調べをしていないからだ。しかし、「国宝雪松図」と「花鳥を描いたその他の作品いろいろ」が並べられている展覧会だ、ということを中に入ってようやくわかった。
肝心の国宝「雪松図」だけど、豪放で圧巻。屏風という特性を考えた作りになっていて、松の立体感が感じられる作りになっている。・・・が、これが国宝なのか?と感じてしまったのは自分の学がないからか?
それよりも僕が面白かったのは、渡辺始興による「鳥類真写図巻」で、これは全長17メートルにも及ぶ精密な鳥類のスケッチ。鴨やうずら、鷹といった見慣れた鳥が多数描かれていて、対象物の妙というのは特にないけれど、部屋の端から端までずっと鳥が描かれ続けている超大作は見応え十分。とても楽しかった。
やっぱり鳥は可愛い。昔から日本人が花と鳥を愛していたというのがよくわかる。
(2018.01.25)
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