
HAGIWARA PROJECTSの隣にあるギャラリー。
広い一部屋だけ。
ここも初訪問。
部屋の明かりは灯っておらず、中を見ると何やら廃材のようなものが積み上がっているだけのがらんとした空間。 しまった、今日は閉館日か、それとも展示が終了して作品の入れ替えをやっている最中なのか。うっかりしていたな・・・と思ったら、ちゃんと営業していた。
この手のギャラリーで多いのが、「店番」的な方が地味にカウンターに一人ぽつんといるパターン。挨拶すらしないで、手元のパソコンで作業をしている。むしろこういう「ほったらかしにしてくれている」感は、気軽にギャラリーに入ることができるのでありがたい。
このギャラリーの場合、そういう店番さんも、スタッフが控えるカウンターすらない。奥の引っ込んだところにオフィスがあるのだろうけど、意識的にそこに「すいませーん」と声をかけない限り、スタッフの方と顔を合わせることもない。
そんなギャラリーなので、明かりがついていないと、本当に休業日なのかと思ってしまう。焦った。
展示されているのは、木製のブラシの柄(?)の部分に黒い紐をくくりつけ、天井や壁にその紐を無数に張り巡らしているというもの。ギャラリーの床の大半を覆う木、そして空間を覆う黒い紐。 規則性が何かあるのかと思って紐の行方を追い続けたけど、特にそういうことはない。
この圧倒的な存在感、それそのものが作品ということなのだろう。 うーん、と唸ってしばらくこの作品を眺めていた。これはすごい。
「なんだよ、こんなの適当に紐を張り巡らしただけじゃないか。こういうのを『高尚な芸術でございます』とすまし顔で語るから、現代アートはマニアックな世界なんだよ」 と最初は思った。しかし、見れば見るほど、「適当にやりましたー。どうです、すごいでしょう?」という安直なものではないことがわかる。
というのも、このギャラリーを埋め尽くす空間を作るのに、一体どれだけの労力をかけているんだ?ということを考えたら、ゾッとしたからだ。天井や壁に糸を固定するためには、脚立に登って、一つ一つ作業をしなければならない。そして、この展覧会が終わったら、それを全部取り外さないといけない。
絵と違って、これと全く同じ物は二度と見られない。
刹那的なものにここまでやるのか。凄みがある。砂浜の砂を使ってアート作品を作るような、そんな刹那っぷりがここにはある。
(2018.02.09)
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