「時松はるなのこよみ」展@新宿髙島屋 10階 美術画廊

新宿高島屋ウェブサイトに1年間連載された、時松はるな氏による四季折々を描いた作品群の展示。

日本には72もの季節が存在する、ということは人生で初めて知った。

「時松はるなのこよみ」展

「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」なんて、聞いたことがない。 描く方としても、かなり大変だったと思う。「七夕!」とか「お彼岸!」というわかりやすいものではなく、もっと抽象的な季節感だからだ。

1年が72候なら、要するに5日おきに季節が変わり、それぞれに絵を描かないといけないわけだ。これは難しい。(正確に言うと、72候は太陰暦に基づいているはずなので、1年=365日ではないと思うけど)

絵は、柔らかいタッチで幸福と祝福に満ちた雰囲気にどれも仕上がっている。人物の表情やしぐさなど、表現方法が「昭和的な漫画」っぽく、一瞬それが安直にも見えるのだけど、見ているうちにそれがこの作家さんの「味」ということに気づく。むしろこの表現が良い。

新宿高島屋の客層を踏まえると、ちょうど良い塩梅、ということなのだろう。これがやたらと劇画的だったりアニメ的だと、高島屋のブランドイメージそのものがおかしくなる。

ずらーっと画廊を埋め尽くす絵は圧巻。 これは欲しい、と思った。でも、売る気はないみたいで、画廊なのだけど値段は表示されていなかった。

ただ、せっかくなら1枚だけでなく全種類、少なくとも数枚は揃えたい性質の絵だ。 ・・・もし買えたとして、一体どれだけのお金を積まないといけないんだ? たとえ数枚であっても、「大奮発して買っちゃった」で済むレベルの出費ではないので、これぞまさに「高嶺の花」だった。

(2018.02.09)

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