
広告作品部門の最高位「経済産業大臣賞」を受賞したのは、JR東日本の「行くぜ、東北。」ポスターに使われた写真。
ああ、これは駅構内のあちこちで見たことがある。
実際に僕自身が街中で見かける広告ポスターのうち、どういったものがプロにおいて高い評価が得られるのか、よくわかるので面白い。
「賞」というのは、「偉い人が決めたんだからきっと良い物なのだろう」と盲目的になってしまうので、自由に作品を楽しむ上では邪魔なレッテルだ。 しかし、どういう観点が評価になるのか、「作品の見方」を教えてくれるきっかけでもあり、今回の展覧会は見ていて面白かった。
しかし、やはりプロが作った広告ポスターというのは、「美しくて当たり前」という先入観があり、どんなにすごい写真でもワクワク感が少ない。今回の受賞作の一つ、スターフライヤーのポスターなんて随分男前な出来なんだけど、「ふーん」という感じさえする。
広告に関しては、不感症になってきている自分がいる。過剰な広告が多い昨今、少々のことで動じていてはいけないからだ。
それよりも面白かったのが、同時開催されていた「全国学校図工・美術写真公募展」の方だった。名前の通り、小学生が図工や美術の授業で作った作品を写真で撮影したものだ。
児童たちは、作品を作る段階で「どういうシチュエーションで作品を撮影するか」ということを考えておく。そしてそれにあわせた作品作りを行う。つまり、「写真に収めるまで」が作品である。これは新しい発想で、とても面白い。
校庭や校舎のあちこちで、児童たちは自分が作った作品を撮影している。独特なアングルで撮影したものや、作品の周囲を演出してみたり、独創性がたくさん詰まっていた。さすが子供!という発想のものが多い。
「小学校のうちからインスタ映えを意識した学校教育かよ」 という批判があるかもしれないけど、これは良い試みだと思う。スマホで写真撮影が容易になった時代だからこその、新しい学校教育のあり方だと思う。
(2018.03.04)
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