桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―@山種美術館

桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―

桜、という花を「表現方法のための素材」として使うことについて、僕は結構懐疑的な目で見ていた。もちろん桜は僕も好きだ。春になると、必ず何らかの形で桜の花を見に行くようにしている。

しかし、特にJ-POPの世界で顕著だけど、「桜」をテーマにした楽曲というのは非常にデフォルメされ、商業主義化されたセンチメントによって形作られ、僕みたいなひねくれた性格の人にとっては「どうもすわり心地が悪い存在」だ。

「外国人が抱く日本人のイメージって、サムライ、ゲイシャ、テンプラとかでしょ?」って日本人自体が思い込むのと一緒の臭いがする。

これは音楽の世界だけでなく、桜をイメージした季節限定料理を出すお店だとか、そういう「桜関連ビジネス」全般に関して感じている。

なので、今回「桜」を前面に打ち出した展覧会、というので僕は眉につばをつけつつ鑑賞した。しかしどうだ、この展覧会で展示されている絵画の桜の美しさよ。

もちろん、「ああ、デフォルメしたな」というものも中にはあるのだけど、多くが桜を大げさに美化せず、素朴な存在として、自然の一風景として描いている。そもそも、派手なピンク色で花びらを描かず、白に近い色で桜を表現しているのが涼やかで心地よい。

桜というと、「テンション上がる系」な植物とみなされがちな昨今だけど、「心が落ち着く」植物としてこの展覧会を楽しめた。良いひとときだった。

(2018.04.01)

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