『光画』と新興写真 モダニズムの日本@東京都写真美術館

「光画」は、1932年から33年まで、わずか2年弱の間刊行されていた写真雑誌。
そして、「新興写真」とは、当時のシュールレアリスムや新即物主義の影響を受けた写真の流行を指す。

それまでは「絵画主義」と呼ばれる、ありのままの光景を写真として切り取ることが追求されてきたが、新興写真では「カメラならではの演出」を意識した作画、となっている。

アンドレ・ブルトンが「シュールレアリスム宣言」を発表したのが1924年なので、極東の日本にわずか8年足らずで、しかも写真の世界でその考え方が取り入れられていることになる。海外への往来は船で、インターネットもなにもない時代にしては早い印象を受ける。僕が思っている以上に、昔は昔なりのスピード感で世界の最新トレンドが日本でキャッチアップされていたようだ。

並べられている作品は、一言で言ってしまうと「くどい」ものが多い。シュールレアリスムの作品がくどいのと一緒で、見ていて疲れる構図や、意味不明な被写体配置だったりする。しかし、何か新しい表現をしてやろう!という野望がギラギラしているのが透けて見えて、その荒々しい作家性は見ていて面白いものだ。

この展覧会の関連イベントとして、「新興写真とはなんだったのか」というトークショーが開催されていた。「なんだったのか」と過去形で語られている。もちろん今の写真表現も、新興写真の要素を内包しているのだろうが、それでも「新興写真ってなんだったんだろうね」と語られてしまうような、一種独特の表現方法だったのだろう。

かっこいい、とか美しい、というものははやり廃りがあるから面白いし、怖いところだ。たとえばルーズソックスや腰パンなんて美の観点からいうと超絶ダサく、後世に残らないものであるのは確定だろうけど、それでもある一時は大変熱狂的に受け入れられ、その時はクールでありかっこよかったりする。

そうやって特殊な表現方法があちこち、ウニのトゲのように飛び出していって、最終的にそういうとんがったものが均され、平均化され、普遍的な美というものが形成されていくのだろう。長いスパンをかけて。

(2018.04.01)

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