八木夕菜「NOWHERE」@ポーラミュージアムアネックス

八木夕菜「NOWHERE」@ポーラミュージアムアネックス

アートというのは、いかに斬新な表現方法を産み出すか、ということでもある。

「見たまんまのものを印刷する」という写真だって例外ではない。デジタル加工をして、現実から遊離したものを作品とする技法があるし、切り貼りしてコラージュにしたりするやり方もある。

最近僕が感心したのは、写真を部屋の壁三面にプロジェクタで次々投影し、「静止画だけど、動画的な演出」がなされているものだ。(ウィリアム・クライン展)

もうこれ以上のものはないだろう、と油断していたら・・・まだまだあるものだな。今回、八木夕菜の作品を見て、死角からぶん殴られた感じがして、若干動揺した。理解が追いつかない、とでも言おうか。

展示されている作品の多くは、アクリル製の透明なブロックが用いられている。ブロックの中に写真が封入されていたり、写真作品の上にブロックが置いてあったり。

アクリルブロックがあることによって、見え方が微妙に歪む。見る角度によって、作品の表情が変わる。

「写真」というのは、印刷してしまえばあとは誰が見ても同じものだ。しかし、アクリルブロックがあることで、見る人によって、見る時間によって見え方が違う。一瞬たりとも、同じ作品であり続けることがない。

その気持ち悪さと、面白さと、でもやっぱり「だから何なんだ」という冷めた目と、複雑な印象を持った。

(2018.06.15)

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