
地下一階の秘密めいた空間を利用した、ちょっと前衛的な展示が多い資生堂ギャラリー。今回は「冨安由真展<インスタレーション>」。もちろん、知らない名前だ。

会場は、受付のすぐ目の前に扉があり、ベニヤ板で仕切られている。
よくわからずに中に入ると・・・部屋がある。薄暗い灯りの、狭い部屋。
扉がほかにもあるので、まだ先にいけるようだ。

ざっと部屋を見渡すと、薄暗いということもあってか、なにやら不気味な雰囲気が漂う。その感覚は部屋から部屋へ渡り歩いていくと、だんだん現実のものとなってくる。

インテリアとして壁に飾ってある人物画が、よく見ると顔が描かれていないとか。
灯りが不規則に明滅している部屋とか。
トントントン!と窓をノックするような音がしたり。

そもそも、どういう順路で歩けばよいのか、狭い空間にもかかわらずわからないのも不気味だ。途中、解説なんて一切ない。

お化け屋敷を作ろうとしているわけではないのだろう。日常に潜む別世界への入り口の予感、みたいなものを感じさせる。

アートとしてどう評価すべきなのかはよくわからないけれど、インスタレーションとしてとても面白いものだった。

ただし、僕のように全く事前知識がなくふらっと訪れたほうが楽しいだろう。「こういう展示ですよ」とわかっての訪問だと、「なんだ、お化け屋敷ほど怖くないじゃん」という誤った感覚を持つと思う。

(2018.06.15)
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