
谷中にある薬膳カレーのお店を訪れた際、目の前にあった建物。
そういえば、日暮里駅近くにこういう名前の建物がある、というのは以前から知っていたけど、中に入ったことはなかったし殆ど意識したことがなかった。
すぐ近くに「岡倉天心記念公園」というのがあるので、それと混同していた節もある。
入り口に営業時間と入館料を案内する看板があったので、「あ、ここって美術館なんだ」と今更ながら気がついた。

さすがにカレーだけ食べて帰る、というわけにもいくまい。せっかくなので中に入ってみた。ところで、朝倉さんって誰よ。

この建物は、彫刻家朝倉文夫(1883~1964)の自宅兼アトリエだった場所。面白いのは、木造和風建築の住居部と、鉄筋で吹き抜けがすばらしいアトリエ部とが融合していること。
朝倉文夫の彫刻そのものは殆どアトリエの1部屋に集中しており、展示点数そのものは少ない。
で、「やっぱり小さいんだな」と油断させておいて、「順路」の表示に従って奥に向かって行くと・・・むしろここからが本番、って感じ。和風建築の住居部がとてもすばらしい。鯉が泳ぐ池を有する中庭を取り囲むように部屋が配置されている。
人が混んでいる時に訪れたならあまり落ち着かないかもしれないけれど、たまたま今回は人が少なかった。なので、落ち着いた時間をここで過ごすことができた。有閑マダムたちは、畳にぺたんと座り込んで、簾戸の先にある池の景色を楽しんでいた。
池の周りをぐるっと回遊して終わりかと思ったら、建物は二階に続く。そして3階、屋上。屋上には庭園があって、花が植えられていた。そして解放感ある谷中の景色を一望できて、快適だった。
地味だと思う。この地味を楽しむために遠方から間隙を縫って訪れるほどのものではないと思うけど、こういうところでゆっくりできる心の余裕があると、ちょっとした、でも素敵な時間が過ごせると思う。良いひとときだった。
(2018.07.03)
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