長井朋子「ぬりえのふちがきえていく」@ROPPONGI HILLS A/D GALLERY

会場入ってすぐに展示されている作品は、子供が描いたような絵だ。口が×の字になっているウサギとか、雑な猫やカエルの絵がカンバスのあちこちに細かく描かれている。

「へたくそな人の絵かな?」と一瞬油断するけれど、よく見るとそういう絵が破綻せず、ちゃんと一枚の絵として成立していることに気が付く。下手ウマのレベルではなく、はっきりとうまい。

そもそもこういうギャラリーで展示しているプロなのだから、うまいに決まってるのだけど、わかっちゃいるけど油断させられる。そして、鑑賞途中で「いや、違うぞ!?」とハッとさせられる。このギャップがとてもいい。やられたッ!という感じがあって、ニヤニヤしてしまう。

会場奥に足を向けると、床から天井近くまであるような大きな絵もある。もちろん、画風は「僕が油断させられた絵」の系譜だ。それでも、カンバスがでかいからこそ、「おう、これはさすがにうまいな」と感心させられる。

後で受付に置いてあったタリフを確認してみたら、売値が100万円を超える作品だった。おう、さすがにすごいな。

超絶技巧の芸術作品とか、「これは風流ですなぁ」などとツウ好みの作品もいいけれど、そういう世界にはアカデミックな研究が行われ、堅苦しい。一方こういう作品は、まだ見ぬ強豪感があって、とても楽しい。「こんなの、子供の絵だよ」と全否定する人もいるだろうし、絶賛する人もいるだろう。そういう評価が分かれる作品こそ、僕みたいな素人が居心地よく楽しむ余地があると思う。

(2019.11.18)

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