
1970年代に活躍し、わずか35歳で亡くなったゴードン・マッタ=クラークの個展。
なんなのこの人。古い建物の壁や床にに穴を開けるという作品をたくさん世に発表している。写真だけでなく、ドキュメンタリー映像とセットになっているものもある。また、切りとった建物の断片も、作品の一つとして展示されている。
中には無許可で侵入し壁に穴を空け、警察から逮捕状が出されて逃走、なんていうこともやっている。昔ながらの勢いだ。今そんなことをやったら袋だたきにされるだろう。
幾何学模様状に、建物を何階も円形にくりぬいてみたり、取り組みはとても斬新で面白い・・・気がする。
でも、その「面白い気がする」というのは、「俺ってこういう意味不明なことにも理解があるんだぜ」感を出すため、無理矢理自分自身が納得してみせている気がうっすらとする。はっきりいって、「だからなんなんだ?」という作品ばかりだ。

ドキュメンタリー映像がいくつも館内には上映されているのだけど、なんだか壮絶だ。上半身裸で、素手のマッタ=クラークがえっちらおっちらとジャッキを回していたり、床を蹴破って穴を開けていたりする。怪我するからちゃんと防護服を着たらいいのに、と思うけど、そういうハラハラ感含めてアートなのかもしれない。
面白いんだけど、何か不完全燃焼感のある面白さだった。スカッとした面白さではない。なんだろう、この違和感。斬新でとても良いと頭では思っているんだけど。
(2018.07.06)
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