インターネットでも現代アート作品の販売を行っている「ギャラリータグボート」。僕自身、ここで作品を購入したことがある。さまざさまな作家さんの作品をざーっと見ることができて、同時に値段も確認できるので、便利だ。
そんなタグボートから招待状が届いたので、若手アーティストのアートショー、「Independent Tokyo」に行ってきた。場所は浅草橋の貸しホール。
広いホールの中には、屏風のようにジグザグしたついたてがずらっと何列も並べられていて、その一面につき作家さん一名のスペースが割り当てられていた。
限られたスペースにたくさんの作品を展示している作家さんもいるし、少数精鋭の作品で挑んでいる作家さんもいる。また、ライブペインティングを行っている作家さんもいる。
みな一様に若く、これから世に出るぞ!という意欲的な人ばかりだ。「アーティスト」ではあるけれど、奇抜な格好といった派手な見た目の人は皆無で、むしろ地味な印象の方が多かった。個性を発揮するようになるのは、もっと中堅どころのポジションになってからだろうか。こうやって、「作品と、作家さんとを同時にたくさん見ることができる」というのがアートショーの楽しいところだ。そういえばこういうイベントに参加するのは、今回が初めてだ。
業界関係者が多いようで、胸に入館証のようなものをぶら下げている来場者が多かった。僕のような単なる客はさほど多くない印象だ。そりゃそうか、美術館と違って、ここに来るということは「気に入った作品があったら、買うかもしれない」という人だ。そんな人が鈴なりになっていたら、むしろびっっくりだ。
いやあ、それにしても楽しい空間だ。さすが若い作家さんが居並ぶだけあって、作品のとんがり方が心地よい。自分の好みに合うかどうか、というのはさておき、グイグイ前に出てくる感は、大手美術館に展示されている大御所作品とは違うインパクトだ。あと、一人の作家さんが複数の作品を展示しているので、それらを見比べて作家さんのやりたいことがなんとなくわかってくる。
思わず、会場をグルグルと3周回ってしまったくらいだ。それくらい、何度も見直したくなる楽しさがある。いろいろな作品が、まるで万華鏡のようだ。
そんな中、ひときわ僕にとって目にとまる作品があった。オギハラ フウカさんという作家さんのもので、中華風の絵柄だけど、日本画の技法で、そして漫画絵っぽい描かれ方をした女の子が描かれている。僕の中では、今回の展示の中でダントツの存在だった。
それは他の来場客もそうだったようで、ひっきりなしにオギハラさんのところには客が来ている。この展覧会は、作家さんはブースにほぼ常駐しているので、気軽に話しかけることができるのだが、なかなか話しかける機会がなくてしばらく待つことになった。
お話を聞かせてもらうと、なんとまだ京都芸大の学生さんなのだという。どこのギャラリーにも属しておらず、こういうイベントに出展するのも今回が初なのだそうだ。まじか。20歳そこそこの人なのに、なんでこんなに絵がうまいんだろう。
「アニメ・漫画世代なので、日本画の技法を使いながら漫画っぽい絵を描いています」
と教えてくれた。じゃあ参考にしている日本画って何?浮世絵?と思いつつポートフォリオを見せてもらうと、伊藤若冲をモロに意識したニワトリの絵が出てきた。あ、この人マジもんや。
なんだか感心しまくっちゃって、即決で絵を1枚買うことにした。まさに衝動買いだ。この俺様を衝動買いさせるとは!と苦笑するしかない。
もちろん衝動買いして良いような値段ではない。とはいえ、まだ若手作家さんなので、クオリティの割にはとても安いと思う。作品が家に届くのが楽しみだ。でも、どこに飾ろうかな。
「川瀬巴水の版画」を将来入手した際に飾る予定だったスペースが、多分これで埋まることになると思う。
(2018.08.05)
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