
友人がお盆で帰省するのだという。LINEに投稿された新幹線のチケット写真には指定席券が写っていて、そこから乗車する便がわかった。
ならば、東京駅で急襲して手土産でも渡そう、ということで友人には内緒で東京駅に行ってみた。しかし、悪巧みは成功しないもので、まんまとすれ違い、僕は東京駅で途方に暮れることになった。
そんなわけで東京ステーションギャラリー。駅改札から徒歩0分の便利なギャラリー。
だからといって、今日は人が多すぎだ。びっくりした。
いわさきちひろは有名な画家だけど、まさかこんなに大人気だったとは。
後で知ったのだけど、ちょうどこの日の朝、テレビでこの展覧会について紹介されたらしい。道理で混むわけだ。東京駅は帰省ラッシュまっただ中だけど、そういう人たちは美術館になんて行っている余裕がない。それとは別の、今日は帰省をしない人種がここには集っているということになる。
ただでさえ狭いこのギャラリー、人が多いと作品を見る意欲がちょっと落ちる。
いわさきちひろといえば、独特の色使いとタッチで描く少女の絵が有名だけど、改めていくつもの絵を見て素敵な作品だな、と思った。何を今更、と言われそうだけど、案外僕はいわさきちひろの作品のことを知らないからだ。なんとなく知っている気になっていたけど、実はなんとなく知らなかった。
「子供を描く」というのは、えてして大人の思惑が加わった、歪んだ描かれ方がされるものだ、と僕は思っていた。特にかわいらしい少女の絵ならなおさらだ。・・・しかし、いわさきちひろが描く少女はどれも素朴で、見る人に媚びを売ったり、変な社会的な問題的をするわけもなく、ただ心地よい絵になっている。その感じがとても良かった。
色使いもきれいだ。中には「なんでこんな色を?」と思えるような重たい色の絵もあるけれど、時々はっとするような明るい綺麗な色もある。そういうのを見比べるのも、楽しい。
僕は最近、「気に入った絵を1枚選び、それを絵はがきとしてミュージアムショップで買い求める」ということをやっているのだけど、「よし、これだ!」と展示室内で決めた絵がショップに置いておらず、すごくがっかりした。Suicaペンギンとか新幹線のオモチャは別の売店で売ってくれよ、ここはちゃんと作品の関連書品を売ってくれよ、とぼやきが出た。まあそれでも、1枚絵はがきを買うというのがマイルールなので、1枚買ったけど。
(2018.08.12)
コメント