不思議な作品を見た。白いギリシャ彫刻を絵に描いたらこうなるのだろうか、というような白とグレーの色使い。白黒写真で、照明が当たりすぎて白飛びしてしまったかのような色をした絵もある。
光と影をテーマに描いているということで、モノクロならではの迫力がある。カラフルな実際の風景から何を省略し、強調したらこういうモノクロ絵になるのか、それを見る者に考えさせられるだけの余白がある作品。
ただ、描かれているのは何かの植物「っぽい」ものだ。いや、解説を読むと実際に「植物そのもの」らしいのだけど、この植物が実在するのかしないのか、よくわからない。見たことがないような形をしているからだ。そういう曖昧さも含めて、魅入ってしまった。
たぶん、僕自身の体調次第、時間の余裕次第では「なんだかよくわからない。ざーっと見てすぐに会場を後にしよう」と思える内容。でも、今日はちょうどご機嫌よろしく、作品をじっくり楽しめて良かった。
つくづく思うのだけど、単純明快ではない現代アートを見るには、健やかである必要があるな、と。
(2018.09.21)
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