美術展のなかで特に白眉なのが、仏像の展示だと思うようになってきた。
絵というのは、展覧会によってはだんだん飽きてくる。または、見方が雑になる。
書や茶器といったものは、腰の高さほどのガラスケースに保管されていることが多く、人だかりができていると見る気が失せる。
その点、仏像というのは、遠くからでも見えるし、少々の来場者でごった返していても、鑑賞することができる。
そういう「見る側の都合」というメリットだけでなく、仏像をぐるっと見ることができる、というのはとても刺激的なものだ。
いつもは、お寺の本道の奥にうやうやしく鎮座している仏像。周囲にはキラキラした装飾があり、天井からもいろいろなものがぶら下がっている。それが、美術展として会場にお越しいただくと、仏様本来の姿が、シンプルに拝見することができる。これがいい。「あ、こういう顔をしていらっしゃったのか」としみじみと眺めることができる。
(2018.10.21)
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