人形町の雑居ビルの中にひっそりとあるギャラリー。まあ、アートギャラリーというのは大抵「ひっそりと」存在しているのであって、派手な看板を出しているようなところは殆どないけれど。
tagboatは、ネットで現代アート作品を積極的に販売しているギャラリーで、僕もここで作品を買ったことがある。また、tagboat主催の若手作家作品の展示販売会「Independent TOKYO2018」では、僕は京都市立藝術大学に在学する作家、オギハラフウカさんと出会い、それ以降いろいろやりとりをさせてもらっている。つまり、僕が今もっともお世話になっているギャラリーといえる。
tagboatのwebサイトで新着作品をチェックすることはよくやっているのだけど、実際のギャラリーを訪れるのははじめて。
市川詩織は、前述の「Independent TOKYO2018」でtagboat特別賞を受賞した、東京藝大を卒業したばかりの若手作家。僕は「Independent TOKYO」でこの作家さんのことは全く印象に残っていないのだけど、改めて展覧会の告知を見るとすごくおもしろそうな作風だった。なので、時間を見繕って訪問した。
なにせこのtagboat Galleryは、土日お休みで平日は夜19時までの開廊だ。会社の有給休暇を使わないと、行くことができない。アート作品を買う人って、カレンダー通りに、朝から晩まで働いている人とは全く違う人種なのだろうか?
ギャラリー内は写真撮影OK、となっていて珍しい。若手作家の作品ということで、著作権云々という前に世間にSNSなどで拡散して世間に認知される方が大事、と考えているのかもしれない。
作品は飼い犬が描かれているものが多く、シニカルなユーモアが含まれている作品が多い。1点もののドローイングでも1万円台から売られており、手軽に買うことができる。
この値段だったら、買ってもいいなあ、と一瞬思ったけど、作品の殆どが額装されていない、紙そのものでの展示だった。ここから額をつけると、思ったより高くはなるだろう。
絵は結局買わなかった。その才能はすばらしいと思ったけど、家の壁に飾ると、ちょっと部屋の雰囲気が重たくなりそうだったから。アートを「買う」ということは、コレクターでもない限りは自宅インテリアとのバランスが問われてくる。だから、気に入った作品でも買えない、ということが起きる。
しかしその分、購入を検討する側は真剣だ。「家のあそこだったら似合うかな?いや、ダメか・・・」「今飾ってある絵と入れ替えたら?」などと頭をフル回転させるからだ。
美術館に飾ってある絵を神妙な顔で鑑賞するのと、わけが違う。
(2018.12.20)
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