印象派前後のフランス画家の作品を中心とした展示。
この頃になると、現代につながる世俗的な文化が絵の中に垣間見えるようになってくるので、見ていて楽しい。たとえばバーのマダムの絵なんてのは、服装からして「おとぎ話の世界観」ではないし、カウンターに並ぶ酒瓶を見ても「ああ、これはシャンパンかな?」などと類推ができる。
つくづく思うんだが、アートっていうのは今この瞬間を生きている我々から、いかに地続きに体感できるかが大事だと思う。その点、これまでの美術教育っていうのは履き違えて勘違いしていると思う。
ミケランジェロとか、ああいう大家の作品をバーンと見せるのもいいけど、「だから何?」感を覚える人は多いと思う。で、そこで思考停止して美に興味を持たない人がかなりいるはずだ。
歴史教育だってそう。律令制度だとか荘園が、とか教える以前に、近現代がどうだったのかという話をしながら過去にさかのぼっていった方が良いと思う。
これだけ情報過多の時代だ。興味が持てない・持つのに苦労する情報というのは、すぐに無視されるし忘れられる。ちゃんと、興味を持てるような構成で語られたほうがいい。美術がまさにそうだ。
(2019.09.14)
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