コンピューターグラフィックを1970年代から駆使し、生物の発生や進化をプログラミングでシミュレートした動画作品を発表し続けている河口洋一郎 の展覧会。
スケッチボードによるカラフルな手書きのデッサンもあるが、多くはプロジェクタやディスプレイによるカラフルなCG動画だ。
極彩色でこってりした色。飲むヨーグルトと粘土の中間みたいな、ねっとりとした液体?物体?が動き回ったり沈んだり。
たぶん、精神を病んでいる人がこれを見ると、具合を悪くしそうな気がする。または、イクラみたいな粒粒が密集したものを恐怖に感じる人も、これは耐えられないだろう。いや、作品を批判しているのではなく、それだけ迫力があり、「なんだこれは」とみてしまうものだ、ということだ。
最近になってCGをはじめてみました♪というなら作品のインパクトは薄い。でも、この展覧会の場合、とにかく1970年代というパソコンなんてほぼ存在しなかった時代の作品からずらっと並び、PC技術の進歩、作家本人の技術と感性の深化を時系列順にみられるのがいい。「昔からやってるぞ」という重みが、すごい。
3月2日の銀座は、あいにくの雨。コロナウイルスの影響で人はまばらで、いつもは大勢いる中国人観光客もほぼゼロ。閉まっているギャラリーも多く、営業をしているお店はガラガラ。マスクをした店員さんだけがいるという場所だらけだった。
異常事態ともいえる銀座の真っただ中で、非日常的な、カラフルで異常な作品を見る。なかなかにシュールな体験で、今後記憶に留まりそうなひとときだった。
(2020.03.02)
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