さようさあや展@ギャルリー東京ユマニテ

さようさあや展

以前、「三菱商事アート・ゲート・プログラム」でアート作品を落札したことがある。人生初のオークション落札で、オークショニアからハンマープライスが告げられたとき、「よし、やったぞ!」という高揚感よりも、「うわ、落札しちゃった」という気持ちのほうが強かった記憶が今でも残っている。

作品は、「work.10 ヒノキ角材1mmx1mm」というもので、その名の通り竹ひごのようなヒノキ角材を井桁に組み上げた精巧なものだ。

その精緻な作りと、光の差し込み具合によって作品の表情が変わることから、いたく気に入っている作品だ。現在、自宅の枕元の壁に装着されている。

そんなさようさんから、個展をやるというご案内はがきをいただいたので、初日に行ってみた。ちょうど所要がある場所のすぐ近くだった、ということもあって都合が良かったからだ。

地下一階のギャラリーは、一面白い壁の、ワンルーム。そこに、ちょっと見慣れない、他にはちょっとお目にかかれない作品が並べられていた。

なんと形容すればよいのだろう。北京オリンピックの会場となった「鳥の巣」みたいなもの、とでも言おうか。枕のようなこんもりとした形の作品で、その表面に紐というか繊維がびっしりと、立体的に覆われている。そのところどころに傷があったり、色があったりする。

あくまでも抽象的な作品であり、特にそこから特定の何かが見えてくる、ということはない。この作品を見て、快と思うかそう思わないか、それだけだ。

自宅にある「ヒノキ角材」の作品を知っているので、この作品が微細な繊維の立体感の面白さを表現している作者の意図がわかる。しかし、ぱっと見て「こいつァいい」とはなかなか思わないかもしれない。難解、というわけではないけれども。

おそらく、写真で見るのと実物を見るのとでは全然印象が違うはずだ。写真だと、作品が持つ凹凸感が失われるからだ。これらの作品もまた、太陽や照明のあたり具合によって景色がかわり、それが面白い作品だろう。

さようさんから直接あれこれ話を聞いて、作品について学ぶことができて面白いひとときだった。オギハラフウカさんにしろさようさあやさんにしろ、若手作家とこうして交流できるというのは本当にありがたい機会だ。今後も交流を大事にしていきたい。

(2020.03.09)

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