中川エリカ展 JOY in Architecture@TOTOギャラリー・間

久々にアート巡りをやることにした。場所は乃木坂・六本木。

乃木坂に所要があると、どうしても「せっかくだから美術鑑賞でも」という展開になる。で、乃木坂駅直結の国立新美術館、乃木坂駅至近のTOTOギャラリー・間、そうなると東京ミッドタウンにあるサントリー美術館と21_21 DESIGN SIGHTをぐるっと回らないと、惜しい気になる。

僕にとっては日常的な行動パターン。でも、今日はパートナーも同行している。果たして、こんな「展覧会ハシゴ」に理解を示してくれるだろうか?

2021年2月。まだ新型コロナウイルスは終息を見せておらず、多くの美術館では来場者の自由な往来に慎重だ。

展覧会の会期が変更になっていることがザラなので、そもそも「今、思った通りの展覧会が開催されているかどうか」は事前に必ず確認する必要がある。

そして、開館時間がどうなっているのか、事前予約制なのか入場制限なしなのか、それとも混雑状況を見て随時入場制限をかけるのか。そういったことも調べなければならない。

一年前までの、「気が向いたら、ふらりと美術館へ」という当たり前の日常が懐かしい。

美術鑑賞というのは、少なくとも僕の日常生活においては不要不急だ。だから、事前に調査して、予約して、自分の予定をフィックスしてまで手を尽くしたいか?というと、そこまでの熱量はない。

困ったものだ、この状態が続くと、美術を見る習慣が自分の中で失われてしまいそうだ。

TOTOギャラリー・間は、事前予約制となっていた。15分刻みで予約を受け付けていたが、週末にもかかわらず当日の予約ができたので良かった。このギャラリーはスペースが狭いので、予約制にするのはやむを得ないだろう。

建物1階の入り口にスタッフの方がいて、予約の確認と検温を行っていた。人手がよけいにかかるから、ギャラリーの運営は大変だ。

なお、「2階にある、建築関係専門の書店」に行きたい、という人もギャラリー同様に予約が必須だった。書店を訪れたかった人が、予約を入れていなかったために1階で止められていたのはお気の毒だった。

建築のコンペ段階などに作られる、ミニチュア模型は見ていてとても楽しいものだ。

精密に作り込まれていて感心させられるとともに、コンペに用いられるくらいだからかなり意欲的な造形だ。

「使い勝手」とか「汎用性」だけを追求すると、単なるオフィスビルのような、だだっ広く四角いだけのハコになる。でも、「創造性の発揮」とか、「チームビルディング」とか、そういう目に見えにくい要素を設計に落とし込むと、いろいろな造形が生まれてくる。

ちょうど今、転居を考えている。

家の間取りを見ながら、このスペースにピクチャーレールをつけるかどうか、とか洗濯機の上に吊戸棚を何センチの高さでつけようか、とか夫婦で延々議論をしている。ほんとうに、延々と、だ。

そんなのが、いかに小さなスケールの話なのか!?と思う。こういうダイナミックな建築イメージを見てしまうと。

ちょうど一週間前、僕ら夫婦はLIXILのショールームに行き、エコカラットのサンプルを前に5時間もノンストップで議論を続けていた。プロだったら、部屋のごく一部の壁に、そんな悠長な時間をかけていられないだろう。たぶん、知識と経験、そしてブレない基本コンセプトがあるからいろんなことがビシビシ決まっていくのだと思う。そうでないと、きりがない。

不思議な形をした階段。側面から見ると、真ん中の軸となる柱がジグザグした形になっている。

中川エリカ展 JOY in Architecture@TOTOギャラリー・間

コロナ時代における病院のコンセプト模型。

右上のエリアにベッドが並ぶのだけれど、まるで昔の工場みたいに、採光のためノコギリ刃のような屋根になっている。

コロナが建築デザインにもたらす影響はどうなるのだろうか。

既に、「キッチン脇に、ちょっとした作業ができるワーキングカウンターがある」とか、「もともとウォークスルークローゼットだけれど、テレワークスペースにもできるようにカウンターがついている」というマンションが現れている。

そして、一戸建ての家だと、玄関から入ってそのまま洗面所、そして風呂場につながっている間取りも出てきたようだ。

大変に興味深いのだけれど、コロナが落ち着いた暁にはどうなるのだろう?そういうのは無駄な設備になってしまうのか、それともそうでないのか。

コロナで社会変革が生まれそうな気配があったけれど、どうなんだろうか?

「喉元すぎれば熱さ忘れる」状態で、何事もなかったかのように人々は出社し、街に繰り出し、衛生管理はさほど気にしないという社会が来るのかも知れない。それとも、不可逆的に社会の仕組みは変わるのかもしれない。

僕自身、仕事の形態やライフプランなど、見通しが立たない。そうなるとコンサバティブな行動をとるしかなく、結局都心に住み続けるという選択をした。「完全テレワークなので、田舎に移住しました!」という人たちに若干の羨望を覚えながら。

(2021.02.13)

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