編集後記2023年05月期

ChatGPTあれこれ

今月掲載した記事の文章を見ればわかると思うが、ChatGPTに文章の校正をお願いするのはやめた。

文章のクオリティが安定しないのと、結局二重三重に文章の手直しを入れることになって手間が増えたからだ。

それでも、ときどき「ハッとするような鮮やかな校正」を見かけるので、ChatGPTにはまだまだ期待を持っている。しかし、文章を読みやすくすればするほど、僕の個性が消えていく。良くも悪くも、このサイトと僕の文章というのは、くどくてグダグダした文章が特徴だ。そこをスポイルしてしまうと何が残るというのだろう、とサイトの存在意義を考えてしまった。

だって、子育てだとか、旅行とか、そんな話ばっかりで、このサイトに載っている情報には特別な価値がほとんどない。21世紀初頭だったら、まだネットが未発達だったのでこのサイトのような情報発信は貴重な存在だった。しかし2020年代の現代では、情報がネットに溢れている。

じゃあこのサイトの存在意義は何なのか、というと、かれこれ四半世紀ずっとこのサイトで文章を書き続けてきた「おかでん」という人物の自伝であり、言葉遣いだ。その言葉遣いをスポイルしちゃダメだろ、と思いなおした。

少なくとも、AIがawaremi-tai.comの文章を全部読み込んで、「おかでん」の言葉遣いや趣味嗜好を学習したうえで文章を生成できるようにならないと、ちょっと使い道がないかな・・・というのが現時点の結論だ。それは、このサイトの文章にはさほど情報的価値がなく、僕の人格こそが価値であるということの裏返しだ。

ただ、文章の校正とは違った使い方でChatGPTを使うことはある。

文章を書くときにかぎらず、何だってそうだけど、一番最初の取り掛かり始めが面倒くさい。その面倒臭さを解消するために、「◯◯について文章をブログ用に書きたいので、素案を作って。文章を書く際の条件は以下に箇条書きするよ」とChatGPTに指示して、800字くらいの原案を作ってもらったりしている。

当然、そこには僕が本当に書きたかった事はあまり含まれていない。なので、原案をもとに、そこから抜本的に僕がリライトする。文章の構成だけ使って、中身はガラッと入れ替えるようなことをする。

結局僕が文章を書くという点では一緒なのだけど、文章を書くのが面倒だ、という気分を少しでも払拭できるのは大きな進歩だ。

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六花亭について書いた記事は、文章の原案をChatGPTに考えてもらったものだ。文章の書き出しが、いかにもおかでんっぽくない文体で、「あれ?」と思う人がいたかもしれない。しかしその後はいつもの文体に戻っている。つまり、全部僕が書き直したというわけだ。

理想としては、「へべれけ紀行」のような長編旅行記のアウトラインをAIに生成してもらいたい。写真をバーッと見せて、ざっくりとした文章をそれぞれの写真につけてもらって、編集画面に自動で転記された状態までできているとその後の作業がとても気楽だ。でもその技術は現時点でまだ実現していない。

この際、写真に対する文章は少々アベコベでも構わない。単に僕が「文章を書くぞ!」という意欲を持てれば良いので。その他、文章を書く際に思考が発散しないようにするための、ガイドラインとしてChatGPTが素案を提示してくれればいい。

こういう技術的な試行錯誤は楽しいので、今後も続けていくつもりだ。

英語向け文章を書いていること

https://toyokeizai.net/articles/-/671191

この記事が面白かった。英語と日本語の文法の違いからくる、笑いの感覚のズレについて書かれたものだ。

ここ最近、機械翻訳任せではあるけれど、僕は毎日日本語を英語に翻訳する作業をやっている。その際、「あ、この表現だとうまく英語に翻訳できないぞ」と気づくことが多い。また、英語に機械翻訳することを前提に、少し平易な日本語を使うように意識している。

自分の日本語が英語になる、ということを意識すると、文章はどうしても萎縮してしまう。ダイナミックな表現が使えなくなってしまう。2023年5月に掲載した文章は、ほぼ全て以前と比べて表現が地味だと思う。なぜなら、スラングやオノマトペを多用すると、英語に翻訳することがとても難しくなるからだ。

機械翻訳といっても、「このページを丸ごと英語に直してね」と指示したらバババッと翻訳してくれるわけではない。数行ごと翻訳ソフトに読み込ませて翻訳し、さらにその文章を英語として違和感がないように校正し、そして記事に貼り付けている。とんでもない手間だ。

この英文校正が結構助かっている。「え、こういうところがネイティブだと違う表現になるのか」と感心することが多い。たとえば、「shop」という単語を「store」に直される、とか「at」が「by」に直される、とか。

こういうサービスを学生時代から使い込んでいると、より英語の知識向上に役立つだろうな、と僕は思う。今の学生は恵まれている。一方で、宿題に追われている学生にとっては、こういう便利ツールは宿題を短時間でこなすためだけに使ってしまう可能性もある。知識の深掘りに使える一方で、ズルをするためにも使えるので、扱いが難しい。

結局は勉強する本人がどれだけ目的意識とモチベーションを持って勉強に取り組めるか、に尽きる。これからの教育は、「とにかく勉強しなさい」と親がうるさく言うのではなく、本人が勉強する意義を見出し、自発的に勉強するように親が促すことが一層求められていると思う。

むしろ、親が子どもに大して勉強に対する動機づけに失敗すると、ひたすらバカになる時代なのかもしれない。なにせ、ズルはいくらでもできるし、ネット上に刹那的な娯楽はいくらでも溢れているから。

(2023.06.01)

コメント

コメント一覧 (2件)

  • AIって、そのうち完全にモデルを模倣できるようになるんですかね?
    それこそ、「おかでん」という人物が完全に不在の状態でも全く違和感なくこのサイトが更新され続けていくレベルで。
    もしそうなら凄いけど。

    例えば、全く関係の無い、おかでん隊長も経験のないどこかの何かしらの情報をぶっこんだら「おかでん氏が書いたようにしか見えない文章」が出来上がる。これって文体もだけど、インプットされたものに対する感性なんかもある程度トレース?できていないといけないわけで。
    じゃないと「あれ?隊長らしくないこと言ってる」とか、もっと言えば「おかでんはこんなこと言わない」的なものが出来上がってしまう。文体は完璧なだけになおさら違和感が出てくる可能性もある。
    じゃあ感性まで模倣できたらいいかというと、そうでもないですよね?
    「何々についてどう思いますか?」というQ&Aなら、「おかでん氏はこう答えるだろうな」で行けるかもしれないけど、「そもそも彼はそういうものに興味を示さないと思うんだが」ってケースも出てきそう。
    要するに何が言いたいかというと、このサイトの文章がいわゆる「座して考える」式のエッセイスタイルならまだいいけれど、何かに関心を持って突き進んでいく、そして何を思ったか文章にする、という体験記的なカラーが強いぶん、AIによる模倣ってなおさら難しいんじゃないかなって。
    そこまで含めて「『おかでん』の言葉遣いや趣味嗜好を学習したうえで」っておっしゃってるんだとは思うんですけどね。
    果たしてそこまでたどり着く日は来るんだろうか…って、思っちゃいます。

  • 一平ちゃん>
    AIが人間を模倣して記事をかけるか?というと、少なくとも「おかでん」の代替は無理だと思う。
    別に一部の人が言うような「AI、取るに足らず」ということを言いたいんじゃなくて、このサイトは僕が見聞きしたことを文章にしているサイトだから。

    つまり、おかでんの視覚、嗅覚、触覚などがあって初めて成り立つもので、コンピュータだけで成立しているAIでは僕のマネができない。

    このサイトの記事を読んでいる人も、別に僕が紹介する旅行先や飲食店、商品を参考にして追体験するのが目的ではないはず。僕が体験したことが僕によって文章化されていて、その文章を読みたいはずなんです。まあ、そういう人は少ないので読者数はごくわずかなんですが。

    なので、芸能ゴシップのこたつ記事やライフハック系の記事を量産しているブログにとっては、便利な時代になったと思いますが、僕の作業量はAIで軽減されるということはなかなかないと思う。

    「だからこのサイトは安泰!」というわけではないのが悩ましいところで、今後ますます個人ブログに対するニーズというのは減ってきて、もはや絶滅危惧種の領域になってきた。

    たぶん、10年後には絶滅危惧どころか本当に絶滅するんだと思う。ブログはYouTuberのような収益化は難しい上に炎上リスク、個人特定リスクを抱えている状態でブログを維持するというのは厳しい時代だ。芸能人による自分のブランド向上施策としてのブログや、「毎日作ったお弁当を掲載する」といった目的が明確なブログ以外は淘汰されるんだと思う。

    とはいっても、強制的にインターネットの世界から追放されるというわけじゃないので、僕が「これまで通りやり続ける」と主張する限りは今後もこのサイトは続くのだと思う。

    あとはコスト面との兼ね合いだ。サイトを維持するためには年間かなりのお金がかかる。
    赤字を垂れ流しながらサイトを維持するのはさすがに厳しいので、広告収入とサイト維持費のバランスが大きく崩れるようなことがあれば、撤退もあり得ると腹をくくっている。

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