バチンと言わないブレーカー

我が家の電気契約は50Aだ。

やけに大きな容量だな、とは思っていた。以前住んでいた家は30Aだったからだ。30Aの時は時折ブレーカーが落ちたけど、それは単に一つのコンセントから電子レンジとティファールを同時に接続せざるをえなかったからだ。決して、家全体で30Aを使い切ってしまいバチン!と逝ったわけではない。

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50Aの話を兄貴にすると、「無駄だからすぐに契約を下げたほうがいい、さあ今すぐだ」と薦められた。30Aに落とせ、と言う。10A落とすだけで、電力会社に払う月額基本料金が数百円も違ってくるのだという。なるほど言われてみればそうだった。

30Aというと、3000Wということになる。電子レンジと、ティファールと、ドライヤーを同時に使えばきっと落っこちる。あ、でも短髪の僕はドライヤーなんて使わないんだっけ。

ひとまず40Aで妥協することにした。ブレーカーを気にしながら生活するのは節約的で良いとは思うけど、ビクビクするのも貧乏ったらしい。40Aで様子を見て、塩梅良ければ次に30A、と二段階ステップで行く事にした。

電力会社に契約変更の連絡をし、工事に来てもらうことになった。所要時間は1時間程度とのこと。

当日、東京電力エナジーパートナーの方がやってきた。ENEOSでんきを使っていても、結局この手の電気工事は東電が行うのだな。電話回線や光回線で、最後にはNTTが出てくるのと一緒だ。

脚立を持っているとはいえやけに軽装だな、とぱっと見た目で気づく。さあ電気工事をやるぞ、という迫力がない。そのかわり、タブレットなんぞを手にしている。まるで保険外交員だ。

で、作業員さん、ブレーカーを確認したのち、「では一旦電気を止めますね」といい、タブレットをポチポチといじり始めた。あれ?どういうこと?

すると、寝室に置いてある床ふきロボット掃除機「ブラーバ」がピロロンと唐突に音を立てた。充電器から取り外されましたよ、というときに鳴る音だ。えっ、今これで家の電気が落ちたの?

胡散臭い目でタブレットを見る。画面は確認できないのだけど、今やタブレットの遠隔操作で電気の元栓(?)をON/OFFできるようになっているのだな。スマートメーターだからだろうか?

そもそも、そんなWi-Fiがそこら中に張り巡らされている事自体もびっくりだ。東電の人しか使えない無線なのだろう。

その後、脚立を広げ、ブレーカーに取り付く作業員さん。

「50A」と書かれたメインブレーカーの取り付けネジを外し、電源ケーブルを抜き、あっという間に取り外してしまった。あっけないものだな、ここまで所要時間1分だか2分だか。

で、次に新しいブレーカーが取り付けられたのだけど、これがなんだか見たことがないものだった。

新型ブレーカー

箱?白い箱?

肝心の、ブレーカーがブレーカーとして存在感を発揮する、あの「バチン!」というレバーがない。つるりと、のっぺりとしたものだった。最新式のブレーカーってこうなっているのか!

しかもこのブレーカー、よく見ると「60A」と書いてある。どうやら、例のタブレットで遠隔操作すりゃ、最大60Aまでの範囲で自由に契約電力を変更できるらしい。すげー。

でも、ブレーカーが落ちてしまったときどうするの?オレ様が操作する場所がないじゃないか。

「ブレーカーが落ちても、10秒おきに自動で復旧しようとします」

だって。へー。そういうものかね。

良かった、地震対策ということで、ブレーカーのレバーに細工をして、揺れを検知したら自動でブレーカーが落ちるようにする器具を買おうかと思っていたところだったんだ。その製品って作りはシンプルなのにかなり高く、買おうかどうしようか悩んでいたところだった。買わなくて良かった、このブレーカーだと不要だ。

そして作業員さんはまたタブレットをしばらくポチポチといじり、ブラーバが「充電を開始したよ!」とばかりにピロロンと鳴り、家に電気が復旧した。

すごいもんだなあ。

しかし感心ばかりはしていられない。今住んでいる家は賃貸だ。ここの不動産屋は家を借りる際にやいやいあれこれ口うるさかったところなので、勝手にこんな最新メカを取り付けたら怒られるんじゃあるまいか?

すると作業員さん曰く、「ブレーカーは電力会社の持ち物なので、賃貸でも問題はないです」とのことだった。それを聞いて安心した。大家のとっておきの「50Aブレーカー」を勝手に白い箱に変えてしまった、というわけではないのだな。

このブレーカー交換は無償でやってくれる。電気容量の変更は1年に1回までしか受け付けてくれないそうなので、30Aまで落とすとしてもあと1年後。次あたりは、ブレーカーを触りもしないでタブレット操作のみで作業完了となるのだろう。

あまりにびっくりしたので、記事として残しておく。

(2017.04.04)

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