
2018年から金融庁の肝いりで始まった、利益が非課税となる投資制度「つみたてNISA」。もちろん僕も毎月積み立てている。
その啓蒙のため、昨年から金融庁は「つみたてNISA Meetup(略称:つみップ)」という参加者一般公募の会合を積極的に全国展開している。僕も、昨年秋に1度霞ヶ関にお邪魔した。
そのゴージャス版とも言えるのが、年に一度の「つみたてNISAフェスティバル」だ。2017年にも開催され、今年で第二回目となる。

登壇者は豪華。岡本和久、カン・チュンド、山崎元、島田知保といった人たちが並ぶ。お金を払ってでも話を聞きたいような人たちだ。
現在の森・金融庁長官になって以降、「フィデューシャリー・デューティー(金融機関における顧客優先主義)」を金融庁は声高に叫ぶようになっている。なんだ、そんなのは当たり前じゃないか、と思うかもしれないが、これまでの金融機関というのは「自分のところの儲け至上主義」であって、顧客はカモ扱いだった。端的に言うと。

たとえば、
・やたらと購入手数料が高かったり、信託報酬手数料が高い投資信託を言葉巧みに売る。
・投資リターンが低くなることが構造上確定している「ダメ商品」を平気で売る。(たとえば、毎月分配型投信など)
・外貨建て生命保険など、リスクの大きさを顧客に正しく理解させないまま、手数料目当てで売りつける。
・自分の銀行の系列の証券会社が組んだ投資信託をやたらと薦めてくる。
なんて話は枚挙にいとまが無い。
さすがに、金融機関の総元締めである森長官が「フィデューシャリー・デューティー」を繰り返し言うようになり、具体的にダメな例をレポートなどで公表し始めたことにより、金融機関も少しは変わった「ようにみせている」。
「当銀行におけるフィデューシャリー・デューティーの取り組み」みたいなwebページを作って公開している銀行は、あちこちで見かけるようになった。
でも実態は、大して変わっていない、というのが僕の印象だ。
銀行は霞を喰って生きているわけじゃない。ボランティアでもない。儲けないと商売にならないので、相変わらずだ。

経済評論家の山崎元氏が「信じていいのか銀行員 マネー運用本当の常識」という本を出版しているが、結論から言うと「カモにされるだけだから信じるな。わからないことは自分で調べろ」という。僕も同感だ。今は、ネットで調べればいくらでも投資や金融のことを学べるようになっている。
ただ、「投資」というと未だに一般的な認識は「個別株」で、値段が安いやつを買って高値で売り抜けて億万長者!とか、株主優待でウハウハ、みたいな怪しい話があふれている。よっぽど運が良かったり、才能がある人ならばそういう投資方法も良かろう。あと、遊びでやるならば。しかし、「資産運用」という観点でお金を金融機関に預け、数十年かけて殖やすということを考えるなら、全然違うやり方になる。
具体的には、NYダウとか東証TOPIX、MSCIコクサイといった経済のインデックス指標と同期するような設計になった投資信託にお金を預けるということになる。つまり、大勝ちはしないものの、世界経済の成長とともに自分の資産も増えていく、というわけだ。
もちろん、個別株のような値上がりは期待できない。しかし逆に強烈な値下がりも、リーマンショックのような時でないと起きにくい。つまらない投資法かもしれないが、こういう投資信託にお金をちょっとずつ回していく、というのは最終的に手堅いリターンとなることが期待できる。つみたてNISAがまさにその考え方だ。
ただ、残念ながら日本人は貯蓄や投資について、学ぶ機会が非常に少ない。学校では全く教えてくれないし(せいぜい複利という概念を教えるくらいだろうか?)、大人になってからも、自主的に学ぼうとしないと無理だ。
「つみたてNISA」という制度は、よくマスコミでは「年金が破綻してしまうから、自分で老後のお金を貯めろ、という制度だ」という解釈で語られる。実際そういう側面もあるからこそ、20年間非課税という特権を与えているわけだけど、
・・・だめだ、書いていてだんだん面倒くさくなってきた。
このあたりのことを書いているときりがない。これまで書いてきた10倍も100倍も文章がかけてしまう。だから、今日はこのへんで中止。
(2018.04.21)
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