本当に使い物になるのか!?ロボット窓拭き機を導入する【HOBOT388】

Amazon.co.jpが毎年11月末に開催しているセール、「ブラックフライデー」にあわせて念願のメカを購入した。ロボット窓拭きだ。

窓拭きはほぼいつも僕が担当している家事だけど、どうもうまくいかない。一ヶ月に一度は律儀に拭き掃除をやっているのだけど、努力の割にはきれいになっていない気がする。拭きムラができるし、なんだかガラスが曇って、やらないほうがマシだったのではないか疑惑さえ湧いてくる。

特に、引っ越して今の家になってからは、Lo-Eガラスになったのだけど余計にガラスが曇って見えるようになった。二層ガラスなので、部屋の中側が曇っているのか、外側なのか、それすらわからない。

「私にまかせろ!」といしが言うので任せてみたら、何やら人の名前が冠された薬剤を買ってきて、それで窓拭きを始めた。それでもやっぱりスッキリとはきれいにならない。いしはその後やる気を失ってしまい、せっかく買った薬剤は殆ど使われないまま放置されている。

窓ガラス掃除というのは、どうしてこうもおっくうなのだろう。単に僕らが、コツをわかっていないだけなのだろうか。

ネットで調べると、いくらでも情報が出てくる。いろいろノウハウがあるのはわかったが、そういうのをひっくるめて「ガラスマジックリンで拭けば一発」じゃないのかと。でも、そうではないらしい。

僕みたいな性格の人は、自分の技術を鍛えることよりも「メカで解決できるなら、(少々割高でも)メカに任しちゃおう。だってその方が楽だし、面白いし」と思っている。なので、窓拭きについても機械化を意識していた。

床のモップがけロボット「ブラーバ」を導入した2015年の時点で、すでにその企みはあった。

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でも導入を見送っていたのは、当時の窓拭きロボットはほしいと思えるものがなかったからだ。

座布団みたいな四角い形で、重たそうなメカがごく一部のメーカーから発売されていた。仕組みは、本体とは別に強力なマグネットがあって、窓ガラスをそのマグネットと本体で挟み、それで重力に反しながら窓掃除をするというものだった。随分な力技だ。

分厚いガラスの場合は大丈夫なのだろうか、とか、バッテリーが切れたら本体の磁力が失せて、落下しないのか?とか不安がある商品だった。いずれにせよ、僕にとってはワクワク感を感じさせないモノだったので、当時は買っていない。

で、だ。2021年秋。

窓ガラスをどうするんだ問題に直面し、改めてロボット窓拭き機を調べてみたら「おお!」と思わず声が出てしまった。技術革新がこのジャンルにも生まれていたからだ。

相変わらず、ごつくて重たくて四角い窓拭き機は存在する。しかし、「磁石でガラスを挟み込んで宙に浮く」という仕組みはもう廃れてしまったらしい。複数のメーカーが製品を出しているが、どれも本体単体で窓に吸い付くようになっている。どういう仕組みなんだ、一体。吸盤みたいなものがついているのか?

ただ、相変わらず日本メーカー製のものは存在しない。日本では窓拭きニーズがない、ということはありえないので、単に日本メーカーがこの手の商品を開発する余力がないのだろう。残念だ。ロボット掃除機だって、さんざんルンバが市場を席巻したあとになってようやく日本メーカーが後追い商品を出したし、スティック型掃除機はダイソンが圧倒的な存在感を持っている。日本メーカーは新ジャンルの商品を生み出す開発能力が衰えてしまったのだろうか?

・・・いや、「ロボット窓拭き?いやー、それはキツイっすよ。ありえないっすよ」というキワモノのジャンルなのだろうか?中華メーカーしか手を出していないジャンルのメカに、お金を払ってよいものかどうか??心配だ。

とはいえ買ってしまった、ロボット窓拭き機。HOBOT388、という。

HOBOTという聞いたことがないメーカーなので随分警戒したけれど、ブラックフライデーのセールで10,000円引きで売られていたので財布の紐が緩んでしまった。当時の購入価格で、27,800円だったと記憶している。

この製品の特徴は、他のメーカーみたいに四角い形ではなく、楕円形ということだ。こいつが窓に吸い付いて、モップで窓を拭き上げるのだという。手にしてみると、案外コンパクトだし、軽い。他のごついロボット窓拭ききが「重い、かさばる」という口コミがある中で、これはたぶん取り扱いが楽な部類だと思う。他の商品を実際に手にしたことはないけれど。

なにしろ、Amazonのような「怪しい中華製品も平気で売っている」ようなところじゃないと、この手のチャレンジングな商品には出会えない。ヨドバシカメラとかビックカメラといった実店舗に行っても、たぶんこの手の商品は展示されていないと思う。なので、買った以上「こいつの良し悪しはともかく、壊れるまで使い続けるしかあるまい」と腹をくくることになる。

商品構成は、本体、電源、リモコン、換えモップ、窓拭き用の洗剤。

窓拭きの構造は、丸いモップが2つついていてそれが回転することで窓をきれいにしていく。

でも、この何の変哲もないモップで、どうやって窓に吸い付くのか仕組みがよくわからない。そもそも、吸い付くのはどうにかなるとして、そこからどうやって動くのかが理解できない。吸い付いたまま、動けなくなってしまうのをどうやって回避するというのか。

実際に動かしてみたら、「おお、そういうことか!」と納得だ。

電源を入れると、掃除機に似た「キュイーン」という音がなる。結構大きい。近くでずっと聞いていたくないレベルの音量だ。そしてメカを窓ガラスに当てると、ピタッと窓に張り付く。すごい、万有引力の法則を乗り越えたぞ。

原理は掃除機と一緒だ。空気を吸い上げることで、張り付く。ほら、掃除機のヘッドをうっかり布団のシーツなんかに当ててしまうと、シーツがぴったり吸い付いてしまう、あれ。それと同じことを窓でやっている。

丸いモップの裏側に空気の吸引口がついていて、モップ越しに空気を吸い上げている。それで窓に張り付く仕組みだ。

で、2つあるモップが交互に、器用に動く。片方が窓に張り付いている間に、もう片方のモップが回転し、窓を拭く。今度はそのモップが空気を吸って窓に張り付いて、反対のモップが窓を拭く。これを続ければ、メカはくねくねと腰を振るように移動していき、窓の端から端まで掃除をしていくわけだ。

窓枠に当たれば、「あ、行き止まりだ」ということで向きを変える。で、一番下までたどり着いたら、「終わったよ」と音を鳴らして人に知らせてくれる。

言葉ではわかりにくいと思うので、YouTubeなどで「HOBOT」をキーワードにして動画を調べてみるといい。なるほどクネクネ動きながら窓を掃除するとはこういうことか、と一発でわかると思う。

かなりの音を立てて空気を吸い上げつつ、窓を移動していくメカ。このため、完全バッテリー駆動というわけにはいかなかった。電源につないで動かすことになる。

クネクネ動くメカに取り付ける電源なので、ねじれたり絡まったりしたら大変だ。電源部分はねじ式で固定されており、ケーブルが本体から外れないけれど、360度くるくる回っても大丈夫な作りになっていた。

電源が切れるということは、吸引力を失ってメカが墜落することを意味する。うっかり電源が抜けて閉まって墜落はまずいので、本体内には電源が切れても15分間は壁に張り付いていられるだけのバッテリーが搭載されているらしい。

あと、本体には命綱もついている。電源も命綱も、かなり長い。5メートル近くある。

想定として、一戸建ての家の吹き抜け二階部分の窓掃除や屋外の窓掃除を意識している。だから長い電源ケーブルだし、命綱も長い。命綱は、万が一バッテリー切れを起こしたときでも、事故が起きにくくするためのものだ。

もちろん命綱を地面近くに設置していたのでは無意味だけれど、カーテンレールなどにくくりつけておけば、たとえ吸引力が失われても本体が宙吊りになって助かる。

掃除をさせてみる。

やり方は二段階で、まず乾拭きをやらせて、その後モップを交換して洗浄液を吹きかけながらの水拭きだ。

このメカのユニークな点は、本体に洗浄液の噴霧装置がついていることだ。本体下部に透明なパーツがあるが、そこに洗浄液を入れておく。すると、クネクネ本体が動くたびに、プシュッ!と霧状の洗浄液を斜め下に発射するのだった。面白い。

ただ、屋外の掃除の際、ちょっとでも風があるとこの霧がほとんどガラスにあたらず、空に飛び散ってしまったけれど。

何度か使ってみたけれど、「エクセレント!」と呼べるほどではないというのが僕の感想だ。

面倒がらずにちゃんと乾拭きをやると、頻繁に「モップが汚れてきたよ、交換してね」と合図を出してメカが止まってしまう。モップ交換が面倒。使ったモップは洗濯しなくちゃいけないし。

そして、マンション住まいの窓ともなれば、さほど大きくもないサッシのガラスであり、数分おきに「掃除が終わったよ」とメカがピーピー音を立てる。その都度、隣の窓に移動させないといけない。乾拭き、水吹き、窓の表面、裏面。結局、メカのそばにほぼつきっきりでいないといけないので、人手が省けた感はまったくない。

しかも、メカのそばで人間様は待機しているけど、ずっとゴーッという音を聞かされ続けて結構うっとおしい。

これだったら、自分で窓掃除をやったほうが早くて楽だ。

そしてもっとも大事な「仕上がり」だけど、やっぱり拭きムラが出た。えー。

しかも、丸いモップでクネクネと掃除をやっているので、スクレイパーを使ってできた直線的な拭きムラと違って丸いムラだ。見栄えが良いものではない。

何度か窓掃除をやっていれば、いずれはムラなくきれいな窓になるのかもしれない。まだ一回二回の実戦投入ではキレイになりきれないのかもしれない。しばらくは修行とおもって使い続けよう。

結局、「思ったよりきれいにならない」「全然人が楽にはならない」「それなりの出費となった」わけでさんざんな結果・・・のように見えるが、実際は満足いく商品だ。なぜなら、「ああ、そろそろ窓を掃除しなくちゃ。面倒だなあ」という気持ちから開放されたから。

いや、実際は面倒なのよ?ロボット窓拭き機に付きそうことって。でも、人間が窓を拭く、という重い腰を上げることと比べるとはるかに楽。超楽。これは間違いない。なんでなんだろうね、これって。

今後このメカを使い続けて、いつか故障したらまたロボット窓拭き機を買うか?・・・と聞かれたら、よくわからない。買わないかもしれない。

むしろ、ロボット窓拭き機のために、ちまちましたサッシの枠をなくしたいくらいだ。バーンとデカいガラス一枚にしてしまいたい。ガラス代がとんでもなく高くなるけれど。

2021年年末、久々に心ときめくメカと出会った。楽しかった。

(2021.12.08)

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